京東は注文額3.2兆円超、天猫は100以上のブランドで「独身の日」を上回り、110以上で1億円超え
2019年6月28日(金)、「【速報】618商戦 & 中国EC大型イベント出店徹底攻略法セミナー」を開催しました。
「618商戦」とは、中国EC大手の京東(ジンドン / JD.com)が自社の創立を記念して、毎年6月18日に向けて開催している大型ECイベントです。最近では京東だけでなく、アリババグループの天猫(Tmall)をはじめとするEC大手もこぞって商戦を繰り広げるようになり、今や11月11日の巨大ECイベント「独身の日(W11)」に匹敵する規模となっています。
そんな「618商戦」は、中国越境ECにおいて売上と認知度を上げる絶好のチャンスです。そこで今回のセミナーでは、今年の「618商戦」の動向や各店舗の取り組み、超大型イベントへの出店に必要な準備や攻略法について詳しく解説しました。講師は上海歴12年、弊社グローカルビジネス室の天野が務めました。

株式会社イー・エージェンシー
新規事業開拓本部 グローカルビジネス室 室長
天野 利哉(右)
「618商戦」速報 & キャンペーン施策事例
京東(ジンドン / JD.com)の発表によると、今年の「618商戦」の注文額は、6月1日から18日の期間中で累計2015億元(約3.2兆円 / 1元=16.00円換算)でした。これは2018年の1,592億元を約26.6%上回ったことになります。また、楽天の2018年の年間EC流通総額3.4兆円に迫る金額を、ほんの2~3週間で叩き出したことになります。購入ユーザー数は7.5億人でした。
天猫(Tmall)では、100以上のブランドで2018年の「独身の日」の売上を上回り、110以上のブランドで1億円を超えたと発表されています。総額は公表されていませんが、こちらも昨年を大幅に上回ったことは間違いありません。
一方、個々のEC店舗においては、今年はどんなキャンペーンが実施され、成果を上げたのでしょうか? 中国でも人気のある代表的な日本ブランドを中心に、実際のキャンペーン施策の事例を紹介しました。
中国越境ECへの進出方法とメリット・デメリット
中国越境ECへの進出方法(下記)と、それぞれのメリット・デメリットについて説明しました。
- すでに日本で運用している自社EC店舗で越境EC
- 海外向けに対応しているECモールで越境EC(天猫国際・京東WW・KAOLA)
・ 自社でECモールに出店し、運用するパターン
・ ECモールに卸すパターン - 海外の代理店(パートナー)に卸して越境EC
中国越境EC市場の特徴と天猫・京東など大手ECモールへの出店
中国EC市場の特徴(下記)を考えると、現時点では自社ECサイト単体ではなく、天猫・京東などECモールに出店した方が、より早く認知度を向上させ、より高い費用対効果が見込めると言ってよいでしょう。
- ユーザーは買い物や商品検索をECモールで行うのが一般的。
- ECモールのトラフィック量が圧倒的に多く、自社ECサイト単体で追いつくのは非常に困難。
- ECモールは潤沢な資本をもとに配送インフラ・決済手段・広告機能・分析ツールなどを完全に網羅。
ECモールに出店して自社で運用すれば、価格のコントロールや在庫管理がしやすく、販売データなども手元に残すことができます。また、それらをマーケティングに生かすインフラも整備されています。「618商戦」や「独身の日」など、ECモールが実施するECイベントにも取り組みやすく、成果も上げやすくなります。
一方、ECモール内での競争が激しいため、キャンペーンや顧客対応、価格設定など総合的な戦略が必要になります。ノウハウを持つ運用会社・コンサルティング会社と組むことによってコストが掛かったり、そもそも日本で実績がない場合は出店自体が難しかったりするリスクもあります。
逆に、このあたりさえクリアできれば、ECモール出店は中国越境ECへの進出方法として非常に魅力的と言えます。
大型ECイベントへの参加条件
年々規模を拡大し続ける中国のECイベントですが、どんなEC店舗でも参加できるわけではありません。「618商戦」に限らず、ECイベントに参加するにはECモール側が設定する条件をクリアする必要があります。そこで、最近の参加条件の傾向について解説しました。
- 店舗の評価・・・商品説明の訴求力や顧客への対応力
- ブランドの認知度・・・キャンペーンや新商品情報の発信力
- 売上・・・規模はもちろん伸び率も重要
- ECモール側の担当者との関係性
・・・必要な手続きや交渉、事前協議などでのコミュニケーション力 - ECイベント自体の実施規定
・・・クーポン発行や新商品か既存商品かどうかで設定される割引率などへの対応
大型ECイベントへの参加までの流れと攻略法
中国独特のECイベントへの参加に必要なタスクやスケジュール、売上を伸ばして成功するための攻略法について解説しました。
- 大型ECイベントへの準備期間
・・・3ヶ月前から。内容・条件の理解、価格・商品・集客などの戦略策定 - 各カテゴリのチャットルームでの情報確認・調整
・・・ECモール側の担当者や他の店舗とのコミュニケーション - ECモール内の広告戦略・・・多彩な広告メニューを活用した事前告知・集客
- ECモール外の拡散戦略・・・SNS等を活用した事前告知・ファン獲得
- ECイベント期間中の運用体制
・・・追加キャンペーン実施・在庫管理・問い合わせ対応・支払い督促など。24時間対応も。
中国は越境ECの環境が最も整っている市場
最後に、越境ECに取り組むにあたって、市場調査の重要性をお話ししました。自社のブランドや商品が中国EC市場でどのような立ち位置にあるのか把握することは、当然ながら非常に重要です。自社ブランドの商品が売られているか? それはいくらか? まずはECモールで検索することから始めてみるとよいでしょう。
また、2019年1月1日に施行された「中華人民共和国商務法(電子商取引法)」による規制強化のポイントについても解説しました。たしかに規制は強化されましたが、そのぶん「中国は越境ECに取り組む環境が最も整備されている市場である」というのが、講師を務める弊社グローカルビジネス室 、天野の見解です。

質問や相談にその場でお答えできる豊富な経験・実績が強み
上の写真は第1部終了後の休憩時間の様子です。参加者から熱心に寄せられる質問に応じているうちに、そのまま第2部「質疑応答&ディスカッション」に突入となりました。セミナー終了後には、他の参加者からの希望で個別相談会も実施しました。
こうした質問や相談にその場で即答できる豊富な経験と実績が、講師を務めるグローカルビジネス室、天野の強みであり、弊社の強みです。今回も少人数限定ならではの展開となり、質疑応答の濃度・密度の高い、熱のこもったセミナーとなりました。
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