カゴ落ちアドバイザー就任会見!西井敏恭氏から学ぶ、「売れないECサイト、まず改善するなら」

2017年3月7日 | attrip

株式会社シンクロ 代表取締役(兼オイシックス株式会社  CMO ) 西井 敏恭 氏に参加していただき、弊社からは高山晋とカゴ落ちアドバイザー就任会見!Oisix西井氏から学ぶ、「売れないECサイト、まず改善するなら」というお題でトークセッションをいたしました。モデレーターは、弊社大西です。

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登壇者

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株式会社シンクロ 代表取締役
オイシックス株式会社 CMO

1975年5月福井県生まれ。2年半にわたって世界一周しながらアジア、南米、アフリカ各地で旅行記を更新。WEBサイトが口コミで広がるなど大人気となる。帰国後は大手通販会社数社とコンサルティング契約をしながら、WEBマーケティングに取り組む。世界一周したWEBマーケティングのプロとしてデジタルマーケティングフォーラムad:techをはじめ、全国で講演多数。雑誌や新聞、テレビなどのメディア掲載多数。

 

カゴ落ちアドバイザー就任

大西:カゴ落ちアドバイザーに西井さんが日本初で就任していただきました。経緯を紹介させていただきます。

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参考サイト:カゴ落ちアドバイザー就任!オイシックス西井さんと語る「売れないECサイト、僕らが最初に改善するなら」 (1/3)|ネット通販情報満載の無料Webマガジン「ECzine(イーシージン)」

高山:ECサイトのカゴ落ちを始めとした機会損失をどう防ぐかという事について、ここ1年間取り組んでいます。カゴ落ち対策の重要性について世の中に広めるために、西井さんにご協力をお願いしました。MAもそうですが、ECに関するさまざまなことを実行されており、同テーマにおいても経験・知識ともに豊富でいらっしゃるということで一緒に研究させていただくことになりました。

大西:カゴ落ちアドバイザーの話がでたときどうでしたか?

西井:私は、通販サイトのコンサルティングをしていますが、売上が数十億以上の規模が大きい企業様とのお仕事が多いです。

それらのECサイトのコンサルティングをする時に、最初に手を付けるのはカートです。なぜ最初に手を付けるかというと、必ず改善するからです。カートに商品を入れてコンバージョンするまでの導線を改善するだけでかなり効果が出ます。

カート部分に対するソリューションが面白いと思っています。ただ、カゴ落ちアドバイザーという名称は、かっこ悪いなと思いました(笑)最初は、カゴ落ちエヴァンジェリストという名前もありましたが、それはもっと嫌でしたけど(大笑)

 

カゴ落ち対策に特化したライトなマーケティングオートメーション「カートリカバリー」の特徴

大西:カゴ落ちの問題は、大きなサイトから中小のECサイトでも共通する問題ですか?

西井:もちろんそうですね。どちらにも共通する問題です。

大西:大きなサイトでは、カートリカバリーのようなカゴ落ち対策をしているのが普通ですか?

西井:やってみたいけどやれていない企業がまだ多いと思います。もちろん新規の広告も大事ですが、昨年依頼された要望で多かったのは、マーケティングオートメーションをちゃんとやりたいのでコンサルをして欲しいという内容でした。

ECの中でマーケティングオートメーションをやるというのは、大事ですが1番費用対効果が高いのはカート離脱対策です。マーケティングオートメーションでメールやLINEなどのコミュニケーションを色々やるのは大変なのでまずはカート改善をやります。具体的にはフォームの改修やカゴ落ちメールなど。大きなサイトでも中小のサイトも同じです。

大西:なるほど。ありがとうございます。続いて、カゴ落ち問題についてフォーカスして話していきたいと思っています。弊社高山よりカートリカバリーの特徴を紹介させてください。

高山:カートリカバリーは、カゴ落ちに特化したマーケティングオートメーションツールです。計測タグを入れると、カゴ落ちユーザの行動履歴を、どんな商品を入れているのかなど色々解析できます。また、カゴ落ちユーザーへのメール配信や広告が出せるサービスです。

 

(セッション中では、動画で1日のカゴ落ち状況をモニタリングしたデータを見ていただきました。)

高山:こちらのECサイトは最低限のEFOなども実施しているサイトですが、機会損失が1日600万円を超えている状況がわかりました。

 

カゴ落ちしたユーザを分析した結果わかったこと

高山:カゴ落ちしているユーザの3割が会員だということがわかりました。7割のユーザは、非会員だということがわかりました。会員の方にはカゴ落ちメール(リタゲメール)を配信し、非会員の方にはリマーケティング広告を出すことで全てのカゴ落ちユーザにアプローチできる仕組みです。

大西:ECサイトによって非会員・会員の割合が変わってくると思いますが、非会員の方が多いECサイトの場合、サイトに来ていただいても買ってくれないジレンマってありますか?

西井氏:単品通販のサイトの場合、EFOをしっかりやってフォーム一体型のランディングページを作っても離脱している人がいます。単品通販じゃない場合は、まさにこのような状態です。みなさんも体験したことがあると思うのですが、カートに入れたあとに入力がめんどくさくなったり、買い物に不安な要素があったりして離脱してしまう人が多いです。

非会員のこの7割というお客様に注目してください。カート遷移の離脱率は、良いサイトで5割くらいです。普通のサイトで7割くらいが離脱しています。7割離脱しているECサイトが2割改善するだけでかなり売上が改善されます。

広告でいうとCPAが150%改善し3分の2に抑えられるというのは、とても重要ですよね。新規のお客様を落とさないというのは、広告費にするととても大きなインパクトになります。もちろんリピート買いの時も大事です。

リピーターのカゴ落ちについて

大西:会員の方(リピーター)が訪れるということは、買いに行く意識が高いと思うのですが、それでもカゴ落ちするのですか?

西井氏:カゴ落ちします。サイト解析をしてもすごくわかると思うのですが、パスワード忘れは実はめちゃくちゃ多いです。カゴ落ちメール(リタゲメール)のソリューションもそうですが、最近だとログインを簡単にするアマゾンのIDを使ってログイン出来る仕組みなどもでていますね。

高山:実は、昨日カゴ落ちの話をアマゾンのログイン&ペイメント(現在の名称はAmazon Pay)の話をアマゾン様に来ていただいて話をしました。アマゾンのログイン&ペイメントでカゴ落ち率は確かに下がりますね。

 

カゴ落ち対策の効果

高山:西井さんのお客様の化粧品サイトに入れていただいているカートリカバリーによるカゴ落ち状況とカゴ落ちカイゼン率のデータです。左側の数字がカゴ落ち率です。悪いサイトの場合70%のかご落ち率がありますが、1ヶ月41%のカゴ落ち率ということで、かなりカゴ落ち率が低いサイトです。

西井氏:一番最初にサイト解析を見せていただいた時にはあまり良い状況とは言えませんでしたが、その後一緒にかなりサイトのカイゼンをさせていただきました。これは、私が入りカートまわりをかなり改善したサイトです。実際にカゴ落ち率も下げることができました。

カゴ落ち率を改善するポイント

西井氏:たとえば、配送の注意書が長いサイトです。クレームの対応のためなどで、本当は読まなくてもいいような余計な情報まで書いてあったりする場合、その部分を削除するだけでもかなり改善します。このサイト場合は、フォームの入力の部分を少し大きくしました。数ピクセル変えるだけで購入完了率がすごく変わりました。現在は6割の方が購入していただいているので優秀なサイトです。

高山:カゴ落ち率が低いサイトですが、まだ4割の方がカゴ落ちしています。カゴ落ちメールとカゴ落ちリマーケティング広告を試してもらいました。オレンジの部分がクリック数です。緑の数字がコンバージョン数です。585クリックしていただいて、その半分くらいの231が購入していただいたというデータになります。

3%くらいのひとが購入していただいて月間140万円を超える売上を上げています。時期によっては200万円を超える場合もあります。

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西井氏:これだけ見てもわかるのですが、メールでクリック率8%は異常です。普通のメールマガジンで8%でることはありません。

カートリカバリーはカゴ落ちのリマインドのメール設定が簡単

西井氏:カート周りのリマインドのメールは絶対効くからやったほうがいいと伝えているのですが意外と設定が大変です。データベースの中にカート情報を持っていなかったり、情報を持っていてもメール配信側とリアルタイムに接続するなどやることが沢山することがありすぎて大変です。カートリカバリーの場合、お金があまりかからずに簡単にJavaScriptだけ入れればいいというのは、おもしろいなと思っています。

大西:カゴ落ちメール(リタゲメール)を3時間後に送った時のメールの開封率43%というのは、どう思いますか?

西井氏:とんでもないレベルです。普通に考えたらこんな開封率はでないと思います。LINEでやってみたら開封率がどうなるのか気になります。LINEならもっと開封率が上がりそうです。

高山:(LINE連携については)今、開発中です。

大西:西井さんと話している中でカートリカバリーのサービスを改善しています。お気に入りという話もありましたが、カート落ちというテーマの中で西井さんと話していた時にお気に入りに登録して購入していない人は同じようにたくさんいるという話もありました。

西井:お気に入りに入れているけど忘れてしまい購入していないという人は、たくさんいます。お気に入りだったり、カートに入れていたりするお客様は購入の意向が高い人です。そのお客様にはカゴ落ちメール(リタゲメール)を送り、購入してもらうことが色んな広告を回すより簡単にできて効果がでそうな施策です。

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大西:メールでのお客様へのアプローチは古い手法だと思いますか?

西井:私自身は、メール自体は古い手法ではないと思っています。もちろんメールとLINEを比べるとLINEの方が開封率は高いと思います。メールは、結局いらない情報が多すぎるのが問題です。いらない情報を省いて必要な情報だけを送ることが大切です。

マーケティングオートメーションを導入してもメールの送信数が増えてお客さんに関係ない情報を送った場合開封率は下がります。逆に必要な情報だけを送れば、開封率はあがります。

例えば商品が値下がりしましたという情報は、全員一律に送るよりその商品をお気にい入りに入れた人にちゃんと連絡したほうが良いですし効果があると思います。

大西:3時間後、24時間後、3日後にメールを送っているのですが、3日後に送ったメールにも反応していることに驚きました。どう思いますか?

西井氏:いろんな業種で研究したいと思っています。商材によって1ヶ月後の方が効くかもしれません。3時間後より1時間後30分後の方が効果がある業種もあると思います。

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スマホ最適化

西井氏:今、大切なのはスマホの最適化です。ユーザが圧倒的に増えていて、今までPCを使っていなかったユーザーもスマホを通してWEBサービスを利用するようになってきました。例えばある会社の場合、サイトのUIを変えてPCと変わらない操作性に変更しました。結果、売上がかなり上がりました。単なるスマホ対応ではなく色んな指標をスマホの方が上になっている状態にするのが大事です。

最近は、アプリのコンサルティングもやっています。アプリはプッシュ配信が出来ます。お客様が使いやすいので、今後も重要度は増していくと思っています。スマホの重要性はみなさん感じていると思いますが、よくある話として、スマホメールについてもPCとまったく同じメールを送っている企業が多いと感じます。

テキストメールは辞めなさい、スマホ最適化のhtmlメールを送りなさい

西井氏:メール1つとっても最適化されてないことが多いです。スマホにテキストメールを送っても見ないですよね。凄いクリック率が下がるはずなのに相変わらずテキストメールを配信している会社が多いです。

スマホで最適化されて見えるような状態のhtmlメールにするだけでクリック率が大きく変わります。テキスト配信していたメールをhtmlメールにしただけで10倍くらい変わった事例もありました。

スマホを大事にしましょう

西井氏:昔は、「スマホはトラフィックが多いけど売上が悪かった」という話がありました。今は、売上がどんどん上がっています。スマホは若者向けと言われていましたがそうではありません。みなさんのお母さんがスマホでLINE使っていたりしますよね。

1時間後にメール配信をしてもスマホでそのメールを見ていない人って結構多いです。家に帰ってからメールに気がついたという人が結構いるということです。もし、カートリカバリーのメール配信をLINEと連携して届けることが出来れば1時間後のまだ商品を欲しい状態の時にカゴ落ちメール(リタゲメール)を送ることで購入率が上がると思います。

本当にスマホに関して出来てないことがまだまだめちゃくちゃあるので、しっかりやるということが大切です。

EC事業者のアプリについて

大西:アプリについてなんですが若者たちが、スマホの容量を気にして週に何回かしか使わないアプリはダウンロードしなくなったという話があります。西井さんは、どうお考えですか?

西井氏:そのとおりだと思います。結局アプリも週に何回かしか使われないアプリはほとんど使われなくなります。すべてのEC事業者がアプリを作ればいいのかというとそうではないです。オイシックスのように毎週使うようなものは、相性がいいと思います。またマーケットプレイスみたいなサイトも相性が良いと思っています。

もし化粧品会社がアプリを作るならば?

西井氏:化粧品会社がアプリをつくるというのは、どんなアプリを作ったらいいのかをちょっと考えた方がいいです。私は、前職化粧品会社でした。化粧品サイトのユーザは、3ヶ月に1回くらいしか買いません。だからパスワードを忘れてしまって、毎回パスワードリマインドをして購入しています。ブラウザならもしかしてこれで十分かもしれません。

化粧品会社がアプリを作る場合、毎日接点をつくるにはどうしたらいいのか考えてアプリを作れればお客様とコミュニケーションが出来て良いかもしれません。

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西井氏:例えば、天気と連動した完走や紫外線情報を毎日送るのは良いかもしれません。毎日お客様とコミュニケーションをとることでその会社のことを忘れずにいてくれるということというのが、マーケティングにとって1番大切だと思っています。

化粧品を買いたいという時に近くのドラッグストアに行くのか、アマゾンや楽天で買うのか、公式サイトで買うか選択するタイミングでもうひとつの選択肢に入れるかどうかはコミュニケーション量がとても大事になってくると思っています。そういう意味でアプリというのは、コマースだけじゃない使い道があると思います。

大西:アプリというのは事業者的には、プッシュ配信ができて便利なツールを手に入れたというイメージですが、ユーザ目線で考えるとアクセスしたくなるアプリじゃないといけないということですね。

西井氏:そうですね。プッシュ通知も必要なプッシュじゃないとアプリを削除されてしまいます。マーケティングオートメーションを使って管理する必要があると思います。

大切なのは、お客様に接点を持ちたいと思ってもらえることです。

ユーザにとってメリットがあるタイミングでコミュニケーションができる設定をすることが大切です。

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ライター

大学卒業後、DJ KRUSH氏との仕事を契機に、Web業界に進む。 現在は"おもてなしを科学する"株式会社イー・エージェンシーに勤務。マーケティングチーム広報。 GAIQ(Google Analytics Individual Qualification)保有者

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