10月17~18日と東京国際フォーラムで開催された「ad:tech東京2017」において、弊社e-Agencyの出展ブースではデータ活用に関するミニセミナーとトークセッションを行いました。そのうち今回はトークセッション「ここまで話して大丈夫? アトリビューション分析に欠かせない2つの視点とは?」をレポートします。
ゲストスピーカーに株式会社AZ(エーズィー)のマネージングディレクター藤堂ちどり氏をお招きして、実際にECサイトの案件でアトリビューション分析に取り組んだ事例をもとにお話をいただきました。モデレーターは弊社e-Agencyの井上陽介です。
登壇者紹介
株式会社AZ (エーズィー)
マネージングディレクター
藤堂 ちどり 氏
メーカー、SIer、外資系人材、外資系コンサルティングファーム等を経て、2013年より現職。広告主側の立場で広告出稿のリアロケーション(再配分)、計測環境の構築、アトリビューション(貢献度)分析の導入などを含めたプロモーションコンサルティングに従事。最も実績が多いのはメーカーや多ブランド展開企業のECで、EC化や、CRM、DMPなどの導入支援等も行っている。
株式会社イー・エージェンシー
アカウント戦略本部 アカウントプランニング2部 部長
井上 陽介
ADK九州支社ICR(デジタルマーケティング支援部門)立ち上げメンバーとして、単品通販事業社向けのWebマーケティング支援に従事。年間300回以上の最適化テストやCRM施策など、約20商材の販促・マーケティング支援を手掛ける。2012年よりGoogleやOptimizelyをはじめとするエンタープライズ製品のセールスを担当。
「広告を見直して費用対効果を改善したい」 ~ そんなとき役に立つのがアトリビューション分析という考え方
今回ご紹介する事例は「広告を見直して費用対効果を改善したい」というお客様のご依頼から始まりました。「CPAが悪い媒体があるのでは?」「CVが重複しているのでは?」という疑問をお持ちのようでしたので分析してみることにしました。
CPAが悪い媒体があるのでは?
確かにターゲットに合ってない施策や、改善の余地がある施策は見られました。その一方で、それぞれの施策の目的に見合った結果を媒体ごとに集計しても、その数字だけで媒体を評価できるわけではありません。媒体単位ではなく施策単位で考える必要があります。
CVが重複しているのでは?
直近90日で発生したCVのうち約70%で複数回の接触が起こっていました。ラストタッチに至る経路上の複数の接触でもCVがカウントされるわけですが、リターゲティング広告が一般化した今ではなおさらです。経路をたどって上位100パターンほどの傾向を見ましたが、施策の組み合わせから考えても妥当でした。
参考までに、担当することが多いEC、不動産、金融で考えると、ECでは65~66%、不動産では68~70%くらいが重複しています。重複する事情はそれぞれ異なりますが、ECはリターゲティング広告(ダイナミック含む)を回すため、不動産はブラパネなどの純広やティザーを配信するため、重複は当然のように起こります。重複は、それ自体ではなく、施策の組み合わせとして考える必要があります。
CPAとROASは改善したが、売上はダウン ~ アトリビューションを考慮しなかった場合
今回の事例では、お客様はアトリビューションという考え方に理解は示しつつも、最終的にはラストタッチへの関与の度合いとCPAをもとにして媒体を評価し、広告を停止・抑制する判断をされました。また一方で、CVの確度の高い媒体には集中して出稿することになりました。
その結果、1ヶ月後には売上・CV数を維持したまま、CPAが抑制されROASも向上します。これで大成功かと思ったのも束の間、1.5ヶ月後にはセッションが減少し始め、それにあわせて売上もダウンしていくことになってしまいます。
<1ヶ月後> CPAが抑制され、ROASも向上! 大成功!?
→ <1.5ヶ月後> セッションが減少し、売上もダウン!
調べてみると、次のような状況になっていました。
- 自然検索で売れていると考えていた重要商品の売上がダウンし、
重要商品を含むカテゴリ全体の売上もダウン。 - 自然検索、とくにCVの多かったYahoo!からの流入が日に日に減少。
- 自社リスト(メルマガ会員)の売上が、配信数を増やしたにもかかわらずダウンし、
客単価もダウン。
さらに調べてみると、次のような状況も見られました。
- 戦略外商品(トップページにバナーを置かない商品)の売上がダウン。
- サイト内検索の検索回数が減少。
まさに大惨事と言ってもよいような状況に陥ってしまいました。
KPIの見直し ~ アトリビューションを考慮する前に
そこで、そもそも何が間違っていたのか、まずはKPIの見直しから始めることにしました。
- 指標の変化を比較(ビフォー&アフター)
広告を抑制した時期を基点に、どこがいちばんインパクトを受けたのか? - 本当のKPI
売上予算(目標)に対して、各指標でどのくらいの数字が必要か? - 耐えられるKPI
リカバリーするために、どのくらいの数字まで許容できるか?
こうして改善しやすいところ、しにくいところなどを見極めた結果、そもそもファネルの大きさがシュリンクしているという結論に至りました。本当にやりたかったこと、やるべきだったことは売上のアップだということが明確になったわけです。
スケールとパフォーマンス ~ アトリビューション分析に欠かせない2つの視点
事業はスケール(量・規模)とパフォーマンス(質・効率)のバランスです。今回のようにパフォーマンスばかりに目を奪われては、スケールがシュリンクして立ち行かなくなってしまいます。
スケール
アトリビューション的発想を取り入れて、媒体単位ではなく施策単位で役割や連携、バランス、タイミングを考えて流入を増やします。
パフォーマンス
ファネルごとのモチベーションに沿ったコミュニケーションプランの策定し、ファネルのスケールを活かせるようにCVRや休眠率など改善しにくい指標にもてこ入れします。
技術的にも計測の一元化やパラメータの整理、レポート頼みではなくダッシュボード構築による見える化・わかる化を推進します。
こうして2回のリアロケーションを経て、ようやく元の状態に回復させることができました。
2回のリアロケーションを経て、ようやく元の状態に回復
まとめ・今後の展望 ~ アトリビューション分析で最適なコミュニケーションを
本来の事業の目的を果たすために、スケール(量・規模/売上・顧客等)とパフォーマンス(質・効率/購入率・CVR等)という2つの視点が不可欠です。今回の事例で、立て直すために考えたことは次のとおりです。
- 本来のビジネスの目的に立ち返る(スケール&パフォーマンス)
- KPIの設定
- アトリビューション的発想
- コミュニケーションプラン
- 技術的な環境を整える
広告のよいところは、態度変容を起こさせることにあります。お客様を区別するのではなく、適切な人に、適切なときに、適切な情報を届けるという最適なコミュニケーションが必要とされています。Webがメジャーになってダイレクトなレスポンス(ラストタッチ)ばかりが重視されてきましたが、アトリビューション分析はそうした広告本来の役割と効果を最大化することができる考え方なのではないでしょうか?
2010年代の初め頃にアトリビューション分析という考え方が注目されるようになって以来、テクノロジーの進化によって、アトリビューション分析に限らず様々なデータを収集できるようになっています。次の一手としては、それらのデータを整理・統合して分析したり、機械学習による最適化を取り入れたり、あらゆる可能性にチャレンジしていけたらと考えています。
▼関連サービス
Googleアナリティクスを活用したアトリビューション分析支援サービス
https://www.e-agency.co.jp/services/google_analytics_attribution
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