株式会社博報堂DYデジタル 向後 健 様に参加していただき、最新グロースハック術をしゃべり尽くす~広告編~というお題でトークセッションをしていただきました。聞き手は、弊社取締役野口です。
翌日にアドテック東京公式セッションに参加する予定の2人に前夜祭的なイベントとして公開トークセッションの場を作りました。公式セッションと同じようにファシリテータとして弊社野口が聞き手となり話をしていただきました。
登壇者について
戦略業務推進グループ グループリーダー 向後 健 氏
2007年、株式会社オプトへ入社。SEM本部にてSEMコンサルタントとして広告運用を担当。2009年より、同社営業部門へ異動しアカウントプランナーとして旅行、EC等のロングテール業界の大型得意先の新規開拓、PDCA業務を担当。2013年より、株式会社博報堂DYメディアパートナーズにてデジタル×マスの統合プランナーを経て、2016年4月より新会社株式会社博報堂DYデジタルのプロデュース本部にてチームリーダーとして従事。
最近嫌いな言葉
「無料で今日中」
関わっているツール紹介
TVCross Simulatorの紹介
「TVCross Simulator」では、TVCMの出稿パターンやターゲット(性別や年齢など)、業種といった10種類以上のパラメーターを設定することで、キャンペーンの「ターゲットリーチ効率」や「広告認知率」等を向上させるTVCMとオンライン動画広告(YouTube広告Facebook広告)をかけあわせた出稿パターンをシミュレーションすることができます。
また、ターゲットリーチや広告認知に加えて「TVCMとオンライン動画広告の複合接触による商品への意識変容」の視点から、商品認知、商品興味関心、商品好意、商品関与意向、商品購入利用意向等の広告指標についてもシミュレーションを可能としており、より広告効果を高める出稿提案を行うことが出来ます。
「TV Cross Simulator」に新機能
今回のアップデートによってFacebook動画広告のシミュレーションへの対応を開始しました。
「TV Cross Simulator」は、インフィード型動画広告の主要プラットフォームであるFacebookにも対応することによって、より幅広く広告主の要望に答えられるようになりました。
「POS-AD™」は、様々な大規模購買アクチュアルデータと、博報堂DYグループが保有するWEB閲覧履歴データ等の全く異なるデータソースを、独自に開発した「k-統計化&データフュージョン技術」によって統計的に結合することにより、活用できるデータ量を大幅に拡大することに成功。生活者の購買行動全体を総合的に把握した上で高精度なターゲティングを行い、広告配信をすることが可能になりました。
大規模な購買アクチュアルデータを元に自在にターゲットを指定した上で、購買ポテンシャルの高いターゲットを高精度に推定。オンライン上でターゲット拡張を行った上で、広告を配信することが可能になります。リリースに先駆けて複数回実施した実証実験では、コントロール群(デモグラフィックターゲティング)と比較して、コンバージョン・購買効果では最大約19.5倍、新商品のブランド理解度や購入意向度アップ効果では最大約2.5倍の結果を記録するなど非常に高い広告効果をあげることに成功しました。
https://www.dac.co.jp/press/2016/20160408_posad
そもそもグロースハックってなんだろう?
(念のため)言葉の定義の確認をします。
グロースハック
┃┃
グロース(成長)を
ハック(うまくやる)すること
グロースハックとは
- データに基づいた改善・最適化の手法を活用し成長を科学すること
- サービス・プロダクト開発・運用の中に、成長する仕組みを組み込むこと
グロースハック(広義)の構成要素
A/Bテストだけに注目されがちですが、それ以外にも沢山あります。グロースハックの構成要素を心技体3つに別けてみました。また、大きく2つに分けるとするとA/Bテストに限らない色々な技と実際に必要になる文化や仕組みがあると考えています。
今回のトークセッションでは、グロースハックを広義に捉え「技・テクニック論」に留まらず「文化。仕組み」までを対象としてお話したいと思います。
https://www.dac.co.jp/press/2016/20160408_posad
グロースハックメソッドの中でと得意技はどれですか?
向後氏:広告運用と投資アロケーションが得意です。
本日のプログラム
テーマ1:
グロースハックにまつわる大投票会<前夜祭バージョン>
~今、日本のマーケターに必要なグロースハック視点を探る~
テーマ2:
教えて!グロースハックのここだけの話
テーマ3:
2017年、注目しているグロース関連トピックは?
また、ご自身の企みは?
グロースハックにまつわる大投票会<前夜祭バージョン>
会場の方にも参加していただき二択の投票形式で行われました。
グロースハックパワーで顧客満足度やマーケットはどこまで変わる?
向後氏:限定的にかわるを選びました。広告という閉じられた中での話なのでBの限定的にかわるを選ばせてもらいました。
ぶっちゃけ広告業界にもグロースハックの考え方はとても必要だと思う
会場は、ほぼAの必要だと思うという意見が多かったです。
向後氏:A.必要だと思うを選択しました。
先ほどの話でもあったように広告業界のマーケティングアプローチは、限られてしまいます。特にデジタルの領域でいうと、小手先になりがちです。もっと顧客のビジネスをちゃんと理解してそこからパートナーシップを組めるような発想だったり仕組みだったりを持つことが課題としてあります。
会場の意見は、AとBが半分半分でした。会場にいた「Bのかならずしも必要じゃない」という意見を出した方に話をお聞きしました。その方の意見は、「データだけじゃなくてもわかるものは、あるかなと思って選びました。」でした。
向後氏:ビックデータは、手段だと思っています。活用しきれているかは別として、冒頭でも言った継続性とか最大性を考えると今は、ビックデータがあったほうがいいです。
野口:Bの必ずしも必要じゃないを選ばせていただきました。Googleアナリティクスを推進しているのですが、こちらを選ばさせていただきました。
成果の上がるお客さんを見極めないといけませんが、大きなデータがあればあるほど内部設計に時間がかかってしまいます。ということで選びました。効率的に必要なデータを選ぶことが大事だと考えています。
向後氏:Aのなんだかんだ人を選びました。
機械学習は、成長促進剤として必要です。結局、機械学習だと限られたデータの中で最適化された結果だと思っています。箱の中でいかに仮説を考えられるのは現状でいうと、まだ人かなと思っています。
野口:私は、Bのいずれ機械学習が抜くを選びました。
将棋の世界でも人間に勝ったようにいずれ広告でも機械学習が上回っていく日も近いんじゃないかなと想像しています。広告業界も、広告電脳戦みたいなのものが出てくる日も近いんじゃないですかね?
細かい広告をパーソナライズで回していく世界においては、人間では限界がくるのが想像できるのでいずれ機械学習が使われていきそうです。
どちらかを全部やめなきゃいけないとしたらどちらですか?という実際ではありえない質問をしてみました。
向後氏:Bのブロードバナーを選びました。
その後の可変性を考えるとリタゲ広告ならリマーケリストを使うことが出来ます。リストによっては、ブロードバナーと同じような事もできます。
・エージェンシーなら色んなグロースハックに関われれる。
・事業会社なら一種類のみしか関われない。
という条件でお話を聞きました。
向後氏:エージェンシーだと色が見られれますが、最後のKPIの限定的な部分しかみられません。グロースハックで広告が関われる領域は狭いです。それ以外にもサービスや事業の根幹に関わることもあるので事業会社を選ばせていただきました。
野口:再現性のあるチームを作った方が良いと考えています。事業会社の中でチームを作ってインハウス化した方が高められるというのが本音です。事業会社の文化の中でいかに根付かせるか(10年続けられるような仕組みとして)というのが本質だと思っています。
ここだけの話、めちゃくちゃ成果を上げたグロースハック事例を教えて下さい
オートメーションシステムを活用したマイクロモーメントSEM(automation system)で(キーワードの自動大量収集+自動入稿でマイクロモーメントを掴んだリスティング出稿によって)
昨対比広告経由の取扱高は同規模出稿で+20%UP
向後氏:大規模ECサイトのリスティング広告業務の話です。キーワードが無数にあるなかでどれを抽出してユーザのニーズが高くなった瞬間に広告出稿できるかというのがテーマだった案件です。
ソーシャルのキーワードだったり、急上昇ワードなどなどのキーワードのソースを箱に入れるだけで自動的にいらない言葉は除外し、広告文を自動で作ってそれをAPIに連携して媒体に入稿するシステムです。まだ、マスデータだったとか位置の情報について改善できていない部分がありますが、限られたデータソースの中では上がった事例です。
この20%というのは、売上です。
DMP活用による逆ファネル発想構築により結果不要コスト20%カット
向後氏:総合代理店でありがちな考え方は、上からのコミュニケーションから考えてしまうことです。
従来と書いてある方法は、調査データを使って初期の仮説を構築しマーケティングファネルからそれぞれのKPIを出します。KPI上でマス広告系とデジタルと完全に切りわけられています。ここで使われた調査データや仮説は、TVCMやクリエイティブに反映されてリスティングやデジタルの広告と結びつかないというケースがほとんどです。それ自体は重要だと思っています。その戦略が正しかったのかどうなのか検証するすべがないというのが問題です。
そこでDMPを活用し、データを完全に結合させます。コンバージョンした人のデータからどうアプローチすべきか考えます。
・購買に必要な行動ってどれくらい?
・購買に必要な興味ある女性ってどれくらい?
逆算で戦略を再構築していくという方法で結果が上がりました。成果が上がりコストも下がり、クライアントも満足していただいています。
初期段階は、うまくいきませんでした。始めてから2ヶ月くらいは、優位な仮説が得られませんでした。仮説を作っては試してみての連続でした。3ヶ月くらいから結果がでるようになりました。
野口:うまくいった理由は?
向後氏:1番重要だったのは、初期の段階で複数の仮説を持っていたということです。調査データの仮設でうまく機能しなかったケースがありました。そのデータを購入した人のデータから検証しました。
野口:具体的に調査データとは、どのようなものですか?
向後氏:生活者データのアンケートのデータです。DMPのデジタルの行動データを結びつけることで、初期に作った仮説をペルソナに合わえて広告を出すことができたというのが成功の要因だと思います。
莫大なデータから従来のマスを主軸においたコミュニケーション戦略では、時間がかかってしまいます。DMP活用による逆ファネル発想の戦略構築により不要コスト20%カットに成功しました。
ここだけの話、いまいち押しのグロース手法は?
向後氏:2つあります。
1.DMP
今はまっているのは、1周回ってDMPです。2週くらい回っているかもしれませんね。日本だとあまり流行らなかったと思うんです。データを格納できる場所も少なかったですし、分析できる人も少なかったです。それがようやくインフラとしては、整ってきました。手法も確立してきました。可能性があるものだと思います。
2.人工知能
2017年以降期待したいのは、人工知能です。機械学習しただけでなく未来を予知できるようになると面白いですね!
編集後記
最新の広告の手法を聞けました。DMPが今後も重要になっていくと感じました。
ありがとうございました!
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