「SEOで検索順位1位」はどこまで重要か–ユーザーの検索行動を分析する

2009年1月15日 | 広報・PR・イベント運営担当

2009年01月15日

「SEOで検索順位1位」はどこまで重要か–ユーザーの検索行動を分析する

奥井夏子
インフォメーションアーキテクト

 自社で運営しているサイトが検索エンジンの検索結果の上位に来ることは、はたしてどこまで重要なのでしょうか。アイトラッキングツールを使って検証しました。


「調査検索」と「目的検索」

 みなさんはどんな時に検索エンジンを使いますか?

 「フリーのアイコン素材がダウンロードできるウェブサイトを知りたい」「ハイビジョンテレビを安く買いたい」「一眼カメラの広角レンズを探したい」など、検索エンジンは私たちの様々な「知りたい」に応えてくれます。

 人が検索をする目的は、一言で言ってしまうと情報収集です。ただ、私たちの情報収集にはいくつかのパターンがあります。

 例えば、ウェブ上で薄型テレビを買うことを検討しているとしましょう。まずは、どのメーカーがいいのか特長や評判を調べるでしょう。他にも、液晶テレビとプラズマテレビのそれぞれのメリットを調べるかもしれません。買いたい商品が決まったら、そのテレビを販売しているサイトを訪れるでしょう。

 この一連の情報収集という検索行動の裏側には、下記2つのニーズがあります。

A:「各メーカーの特長を調べ比較する」「液晶テレビとプラズマテレビの違いを知る」

調査、比較、検討をする時の検索行動です。わかりやすくするために、ここでは「調査検索」とします。

B:「販売サイトを探す」

Aに比べて目的のはっきりしている検索行動です。わかりやすくするために、ここでは「目的検索」とします。


ニーズによって検索結果の注視ポイントは変わる?

 さて今回は、ユーザーはニーズに応じて検索結果のどこを見るかを、アイトラッキングマシンを使い検証します。男女を含む5名の被験者に「デジタル一眼レフカメラについて調べてください」というタスク(課題)を課しました。被験者のデジタル一眼レフに関する理解度や関心事項はまちまちです。

 それぞれの調べたい事項につき、各ユーザーに5~6回自由に検索をしてもらいました。なお、自然な検索行動を見るため、調査検索、目的検索についての説明はしていません。検索エンジンとして利用したのはGoogleです。さて一体どんな結果が出るのでしょうか。


「目的検索」では下まで見ない

 最初の被験者Aさんは、「ISO感度」について検索しました。以下が、検索結果での注視ポイントです。

図1:被験者Aさんが「ISO感度」について検索した様子

(※画像をクリックすると拡大します)

 Aさんは検索結果1位の「ISO感度とは」を瞬時にクリックしました。1位以外を全く見ていないということは、図1を見ても明らかです。さらに言えば、この1位についても、タイトルだけを注視し、ディスクリプション(サイトの説明文)さえ見ていないことが分かります。

 Aさんに1位をクリックした理由を聞いてみると、「●●とは」という結果が1番上にあったので、ということでした。ISO感度についての答えは、 1+1の答えが2以外にはありえないのと同じように、見解の違いが少なくどれを読んでも同じとユーザーは認識しています。答えが1つしかないような情報を求めている場合、ユーザーは最初に出てきた検索結果をクリックする傾向にあります。特にこの被験者の場合、「『●●とは』というページには、求めている情報があることが多い」という経験則があったため、検索結果1位をすぐにクリックしたようです。


出てきた結果が予想と違った–さぁどうする?

 ではもし、検索結果1位に、予想に反する答えが出た場合、ユーザーはどのような行動を取るのでしょう。検索結果の中からじっくり答えを探そうとするのでしょうか。

 被験者Dさんは、キヤノンのデジタル一眼レフカメラ「EOS KISS」の製品サイトを探そうとしました。その結果が下記の図になります。

図2:被験者Dさんが「EOS KISS」の製品サイトを探した様子

(※画像をクリックすると拡大します)

 Dさんは、検索結果5位までにすばやく目を走らせ、自分の欲しい情報がないと判断すると、すぐにキーワードを変更し再検索をしました。

 目的検索においては、どの被験者も1回の検索に時間をかけようとはしませんでした。上位の検索結果が期待と違った場合、ページの下方や次ページから情報を探し出すのではなく、検索キーワードを変えて再度検索をやり直す、というのが被験者達に多数見られた行動です。


調査検索に順位は関係ない

 次に調査検索の場合の視線の動きを見てみましょう。

 下記は、先ほどと同じ被験者Dさんが「夜景の撮り方」を調べた時の視線の様子です。目的検索に比べ、ページの下までよく見ていることが分かります。また視線がZ型に動き、タイトルやディスクリプションを読んでいることが分かります。

図3:被験者Dさんが「夜景の撮り方」を調べた様子

(※画像をクリックすると拡大します)

 調査検索においては、どの被験者達も順位にとらわれずページ全体を注視しました。その中で、タイトルやディスクリプションをもとに情報を取捨選択しながら、記事をクリックしていました。ただしよく見ているのは、検索結果の2ページ目まで。3ページ目以降はほとんど見ずに、検索キーワードを変えて再検索をするという行動パターンが見られました。


検索結果における魔法–ユーザーが必ずクリックしてしまうのは?

 調査検索では、ユーザーは順位にとらわれず、タイトルとディスクリプションでページ内の情報を取捨選択するという結果が出ました。その取捨選択の基準は、ユーザーが何についての情報を調べるかにより異なります。

 ただし被験者達がついクリックしてしまう、共通のトリガーがあります。下記の図は、おすすめのデジタルカメラを見つけていた被験者Bさんの目の動きです。視線がZ型に動く調査検索の特徴は見られますが、ページ半分だけを読んだところで「All About」の記事を発見、すぐさまその記事をクリックしています。またそこでぷっつりと視線は途切れ、それ以降の結果を全く読んでいないことがわかります。

図4:おすすめのデジタルカメラを見つけていた被験者Bさんの様子

(※画像をクリックすると拡大します)

 All Aboutの他、全体のテスト結果を通してよくクリックされていたのは、「Wikipedia」「教えて!goo」「価格.com」など、情報サイトとして評価の高いサイトです。これらのサイトは、検索順位のどこに出ていようとクリックされる確率が高く、またそれ以下の順位の記事をユーザーはほぼ見ない傾向にありました。サイト運営者は、自サイトの検索結果がこれらサイト順位より下方にある場合、注意する必要があります。


必ずしも検索結果1位である必要はない

 今回のテストにおいてわかったことをまとめると、以下のような図になります。

 上記を考慮すると、サイトコンテンツ属性により、SEO対策で取るべき施策は異なると言えます。

 サイトの内容によっては、検索結果の上位に表示されなくても良いのです。ただ、調査検索対象ページにおいても、検索結果の2ページ目までには掲載されている必要があるでしょう。

本コラムは、奥井がCNET Japanにて連載している「視線が明かすウェブ制作の常識・非常識」にて2008年10月31日掲載された原稿です。

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