2007年07月05日
キャッチアップ!Movable Type 4 – MT4 β版レビュー ~ アイデアマンズアイデア(18)
宮永 邦彦
アイデアマンズ株式会社
ちょうど1ヶ月前の2007年6月5日、シックス・アパート社から3年ぶりのメジャー・バージョンアップとなる「Movable Type 4」が発表されました。既にニュースなどを通じてご存知の方も多いことでしょう。それから矢継ぎ早に現在までβ4がリリースされており、正式な発売予定日まであと2週間と迫りました。
しかし、「忙しくてなかなかβ版を試せていない」という方もまた多いのではないかと思いますので、今日は実際にMovable Type 4のβ版に触れ、どのように進化したのかをおさらいし、新バージョンに短時間でキャッチアップします。
ニュースのおさらいと製品情報ブログ
これまで見たニュース記事の中では、@ITでの記事が図版と情報量が多く、理解しやすく感じました。
・3年ぶりでMovable Typeがメジャーバージョンアップ
http://www.atmarkit.co.jp/news/200706/05/mt.html (@IT)
また、シックスアパート社はブログ・ソフトウェアの会社らしく、ブログによるさまざまな新フィーチャーの紹介を行っています。
・Six Apart – 技術情報提供ブログ: Movable Type
http://www.sixapart.jp/pronet/developers/movable_type/
図や動画も交えてわかりやすく説明されており、ユーザーとして最も参考になる情報源のひとつです。
今回のバージョンアップを一言で言うと?
シックス・アパート社はここ数年、ブログのビジネス利用を強く推進しています。ブログをビジネスに応用する方法は大きく分けて、「ブログというコンテンツの形態をメディアにする」というCGM的なベクトルと、「ブログ・ソフトウェアをサイト運用に役立てる」というCMS的なベクトルがあります。マーケティングとしてはCGM用途、Web制作としてはCMS用途に大きなビジネスチャンスがあることでしょう。
前回のMovable Type 3では、「Spam Fighter」というコードネームを掲げたほど、コメントやトラックバックのスパム対策に力を入れました。その結果、CGM用途での利用価値が高まりましたが、今回のMovable Type 4はどちらかというとCMS用途に力を入れているようです。
ガラリと変わった管理画面
Movable Type 4にログインすると、最初はそのデザインの変化に戸惑うくらい、管理画面のレイアウトは大きく変更されています。ところが、新レイアウトの理解にあまり時間はかかりませんでした。むしろ使い勝手が向上したことをすぐに実感できました。
Movable Type 3に慣れすぎてしまって、いつのまにか妥協していた部分も、念入りに改良されています。しかも改良は広範囲にわたっており、ソフトウェアの作り手として敬意を感じるほどです。
エントリーとテンプレートの編集画面が強化
Movable Typeが他のブログ・サービスに遅れをとっていた部分のひとつが、素っ気ないエントリー(記事)編集画面でした。Movable Type 4ではついに、HTMLタグ打ちではなく、Microsoft WordのようにWYSYWIG編集ができるようになりました。
同じく、テンプレートの編集画面も、高機能なテキストエディタのようにコードの色分けがされ、テンプレート・タグや属性が読みやすくなりました。行番号も表示されるようになったので、エラー箇所の特定も楽になりました。
ウェブページとファイル管理機能
エントリーとは独立して任意のウェブページを編集する機能が追加されましたので、これまでインデックス・テンプレートや別ブログを使って代用していた単独のウェブページの追加が、いっそう簡単にできるようになりました。
もうひとつ、サーバー上のファイルを管理画面から操作する機能が追加されましたが、これはファイルのアップロード機能を拡張したものと考えてよいでしょう。今後はFTPツールを併用せずに操作が済む場面も増えるはずです。
バックアップ機能
そしてついに、データベースのバックアップ機能が搭載されました。添付ファイルまでまとめて保存される高機能ぶりですが、直接ダウンロードしたり、保存先を指定できる仕様にはなっていないのが残念です。今後の改良に期待しましょう。
プラグインの互換性は?
Movable Typeをビジネスに利用する場合、プラグインの活用は切っても切り離せません。私たちもMovable Typeの携帯対応プラグイン「ケータイキット for Movable Type」を発売しており、その互換性が気になるところでした。
・ケータイキット for Movable Type – ケータイキット
http://www.ideamans.com/keitaikit/
結論として、プラグインの互換性は非常に高いレベルで確保されているようです。少なくともケータイキット for Movable Typeについては、ほとんど手を加えずに主要な機能は動作しています。管理画面に手を加えるようなトリッキーなプラグインを除き、これまでリリースされたプラグイン、培ったプラグインに関するノウハウは、ほとんどそのまま活かすことができるでしょう。
追加されたテンプレート・タグ
さて、ここまで管理画面の変化について説明してきましたが、テンプレートを記述するためのテンプレート・タグもかなりの数が追加されます。
Movable Typeの技術情報で有名なブログ「小粋空間」で、追加されたテンプレート・タグを一覧できます。
・Movable Type 4 ベータ版情報 (ブログ画面・テンプレート構成・追加テンプレート・タグ)
http://www.koikikukan.com/archives/2007/06/06-012121.php (小粋空間)
ざっと見てみると、まずはMTAssetから始まるテンプレート・タグが多数追加されているのが目に付きますが、「アセット」は本格的なCMSにおける情報管理の用語であり、CMS化の流れをここでも感じることができます。
もうひとつ、EntryやCommentなどにScoreやRankという単語が続くテンプレートタグも目立ちます。スコア付け、レイティングの機能が追加されるのでしょうか。
ライセンス料とオープンソース化
今回のバージョンアップにより、基本ライセンス料が改定され、これまでの31,500円が、52,500円に値上げされます。ユーザーとしては苦しいところですが、これまで説明したように入念な機能拡張がなされていることを考慮すると、致し方ないと言えるでしょう。それより、ソフトウェアが値上げされた分、付加価値と利益率の高い提案をできるよう、前向きな努力をしたいところです。
逆に、今後はオープンソース化するという声明も出しています。海外では、ライバルとなるWordPressの方が、シェアが高いと言われていますが、Movable Type 3のリリース以降、利用上の制約が厳しくなったからだという指摘もあります。
(編註:シックスアパートのブログでは、「Movable Type 4とMovable Type オープンソースは、別のプロダクトとなります」という記述がありますが、それ以上の情報はまだ出てきていないので(2007年7月5日現在)、具体的にどのような点が異なるのかはまだ判明していません)
・Movable Type 4.0 ベータ、ローンチ―第3四半期にもオープンソース化へ
http://jp.techcrunch.com/archives/movable-type-40-beta-launches-platform-to-be-open-sourced/ (TechCrunch Japanese)
ビジネス・ソフトウェアの価値は、決して単体の性能やコスト・パフォーマンスだけでは語れません。書籍やブログといった周辺情報の充実、制作パートナーやサードパーティーの数、サポート体制などの総合力が決め手となります。その点で考えると、Movable Typeはすでにひとつの牙城を築いたと言えるでしょう。ビジネスブログのソフトウェアとして、新バージョンには高い期待を寄せています。
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