これからのECサイトに求められるサービスと戦略について
柴田 幸一朗
ダイアモンドヘッド株式会社
2007年12月に野村総合研究所が発表した資料によると、2007年の日本国内のEC市場規模は4兆9387億円でした。そして5年後の2012年度には10兆円を超えて10兆3234億円になると予想されています。つまり5年後、EC市場は倍の市場規模になるわけです。
継続的に成長を続けるEC市場において、同カテゴリーの商品を扱うライバルサイトとの競争激化が予想されますが、サービス・戦略の差別化がビジネスの勝敗を決める重要なポイントになることは言うまでもありません。
ライバルサイトから一歩抜きん出るために、今後のEC市場に求められるサービスや戦略などを既に実践しているECサイトを例に挙げながら紹介します。
リアル店舗とECサイトの連動
・ポイントの共通利用
リアル店舗とECサイトの双方にポイントサービスを導入している場合、「管理が複雑になる」「営業時間等の違いによるシステムの連動が難しい」といった理由でそれぞれに独立したポイントを発行しているサイトがあります。
しかしながら、購入者の立場から考えれば、実際の店舗で買おうとECサイトで買おうと、運営母体が同じであれば、ポイントは共通利用できて当たり前だと考えます。そういったユーザーニーズに応えるために、下のビックカメラサイトでは、希望するエンドユーザーに対してポイントの共通化を行っています。リアル店舗の顧客管理用のナンバーとECサイトのユーザーIDを紐付けて管理しているのです。
・ビックカメラ.com
http://www.biccamera.com/
・ポイントの共通利用のご案内
http://www.biccamera.com/bicbic/jsp/w/service/point/index.jsp
・在庫の共通管理
実際の店頭だと他店舗の在庫状況をPOSにて確認することができますが、ECサイトだと通常在庫が独立して配分されており、リアル店舗の在庫とは切り分けて管理しているケースを多々見受けます。この場合、売れ筋の商品の追加がリアル店舗のようにリアルタイムで行えなかったなどの機会ロスが生じてしまいます。
最近では、機会ロス減少と売上げアップを目指し、リアル店舗と同様にECサイトへの在庫の配分や共通管理できるようにバックヤードのシステムを改善したECサイトが増えてきました。
下の無印良品サイトでは、在庫の共通管理できるバックヤードに加え、ネットからでもリアル店舗の在庫状況が確認できるサービスを提供しています。
・無印良品
http://www.muji.net/store/
・店舗在庫確認サービス
http://www.muji.net/store/pc/user/notice/shopstock.jsp
購入者への対応・サービス
・返品・交換ルール
ECサイトで今でもよく見かけるのが、「お客様の都合での返品交換はできません」という返品ルールです。もちろんECサイトだと、リスクヘッジとしてそういったルールは仕方ないとも感じますが、最近のユーザーの傾向として、多少値段が高くても返品交換が可能なサイトで購入する傾向があることを忘れてはいけません。
特に高額品を扱っているECサイトでは、「商品到着後○日以内は返品交換可能です」とPRして成功を収めている例もあります。返品交換のルールを分かりやすく丁寧にサイトに表記されているかも重要なポイントになっています。
・問い合わせ対応
ECサイトではメール対応が主流ですが、電話の方がスムーズに用件が伝わりやすいことも多いため、「電話対応可能」「フリーダイヤルの導入」といったことをPRして信頼を獲得しているECサイトも増えています。
また休日でもスタッフが交代で問い合わせに対応し、受注を増やしているECサイトもあります。翌日出荷や24時間以内の出荷など、急いでいる購入者にとっては嬉しいサービスです。
・ラッピングサービス
ECサイトでギフト(プレゼント)の購入者が増えているため、それに連れて需要が拡大しているのがラッピングサービスです。しかし、ラッピングはとても面倒、というイメージがあるせいか、導入を懸念するECサイト運営者も少なくありません。
そこで、全ての販売商品をラッピングの対象にするのではなく、今の時期だと”バレンタインデー”にあった商品のみを対象にするなど限定サービスとして開始すると導入しやすいです。またメッセージカードサービスやシーズン・イベント毎にラッピングの種類を選択できるサービスも好評ですので、導入することをオススメします。
EC戦略、次の一手
・グローバル化
成長していくEC市場において、海外進出は当然視野に入れておくべきテーマになっています。もちろん簡単なことではありませんが、ECサイトを成功に導くための戦略として数多くの企業が検討しているのも事実です。
グローバル化の関心が高まった理由として、この数年間で海外の出荷サービスの整備が進み、特にアジア圏への出荷は飛躍的に整備されていることが挙げられます。流通網が整備されれば、海外に店舗を出店することにこだわらなくてもいいということになりますので、メーカーサイドも自社サイトやECサイトを活用した戦略を検討しているのです。実際、テスト的にグローバル化したECサイトでは、立ち上げから約2年で、売上の約10%を海外からの購入が占めるまでになりました。
しかしながら、海外への商品の販売はリスクも少なくないことや、各国によって法律や関税が異なる、といったことに注意しなくてはなりません。
ECサイトのグローバル化にご興味のある方は、下記のような海外通販に詳しい会社に問い合わせしてみてください。
・ナビバード
http://www.navibird.co.jp/
最後に
日々成長しているEC業界から取り残されないように、刻々と変化するトレンドや技術に柔軟に対応することも大切ですが、それ以上に実際の「お客様」を大事にすることがより大切だと考えます。初回の購入に繋げる努力と安心感の提供、購入後のフォローやリレーションの構築が何よりも大切と考えます。
ECサイトの運営もリアル店舗と同様に”商う”というキーワードを忘れずに、常にお客様の視点で”サービス”を提供していけば、継続的に成長していけるのではないでしょうか。
最後に個人的に注目しているECサイトをご紹介して、この連載を締めくくることとします。
・ZOZO RESORT
http://zozo.jp/
有名セレクトショップが参加するECモール。コラボ商品や人気のブランドを多数扱っており、著名人ブロガーなどのコンテンツも魅力的です。
・パルコ シティ
http://www.parco-city.com/
大手商業施設が、昨年の6月よりEC事業を本格スタートさせました。
毎月、新規ショップが加わりコンテンツも充実してます。セゾンカード会員への割引もあり、とてもお得です。
・B印YOSHIDA
http://www.bjirushi.com/
BEAMSと吉田カバン「PORTER」とのコラボショップ。1月10日にデザイン・EC機能がリニューアルされました。
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