Webにも「編集力」が求められる時代へ(1)

2006年11月8日 | 広報・PR・イベント運営担当

2006年11月08日

Webにも「編集力」が求められる時代へ(1)

長谷川健一
株式会社イー・エージェンシー

高まってきた「編集」の必要性

最近ますます、Web業界は他業種からの人材流入が加速しています。「Web業界」とはいきなり大雑把な括り方で恐縮ですが、こう表現するしかないほど多様な変化・拡大を続けているのが「Web業界」であるということは、多くの方も実感しているでしょう。

「急速な市場の拡大⇒マンパワー不足⇒人材流入」という構造がベースにあるのも事実ですが、単なる「人手」としてではなく、他業種が保有しているスキルや経験を必要とし始めたことも大きな要因です。中でも、従来はペーパーメディアを主な活動領域にしてきた「編集」という仕事に対するニーズは、急速に高まっています。「人々がWebに求めるものが変化してきた」ということを象徴するような現象です。

しかし、一口に「編集」と言っても、そこに含まれるものは実に幅広いものがあります。具体的には、「編集」のどのような部分が求められているのでしょうか? 簡単にまとめてしまうと、以下の4点に集約されるように思います。

・コンテンツ企画力
・情報の取捨選択&整理能力
・コピーライティング力
・上記3つをワンストップで処理できる力

特にこれから重要視されると思われるのが、4番目に挙げた「ワンストップで処理できる力」です。それ以外の3点について、従来はいわゆるWebプロデューサーやWebディレクター、IA、ライターといった肩書きを持った方々が、部分的に担当してきたのが標準的なスタイルでした。これらを統合的、俯瞰的に捉えながら仕事を進める必要性が高まっているのです。

「何ができるか(What)」→「いかに表現するか・伝えるか(How)」

Webが登場してからの約10年を振り返ると、Webというメディアの形態自体が発展途上にあった段階だったと言えます。メディアを支える技術やインフラが日進月歩で進化して、Webで「何ができるか」が最大の関心事でした。企業も個人も、来るべき姿を明確にイメージできていたわけではなく、ある意味では手探りで、Webの可能性を追求してきたわけです。

しかし現在では、ビジネスモデルや先々のヴィジョンが見え始め、企業も個人も明確な結果(成果)を求めるようになりました。その結果、「何ができるか(What)」だけではなく、「いかに表現するか・伝えるか(How)」が重要視されるようになっています。

メディアの形態やビジネスのスタイルが模索段階にあった時は、クオリティに対する要求も、ある意味「二の次」とされてきた面がありました。代表的な例が「コピーライティング」で、「内容」に不備さえなければ、発注側も受注側も満足してしまうケースが多かったのでしょう。しかし、これでは期待した「成果」はなかなか挙げられません。

たとえば、Webサイトに記載されている「情報(内容)」自体は企業側のオーダー通りであったとしても、それをユーザーに対して最も効果的に伝える「言葉」や「表現」がチョイスされているかどうか、疑問視せざるを得ないサイトは沢山あります。「Webサイトの改修」という案件が増えつつありますが、サイト構造の見直しやSEO対策などを検討する以前に、現行サイトのテキストを全面的にリライトするだけでも効果があるのではないか、と思われるケースが多いのです。

「コミュニケーションを演出するプロ」としての編集者

コピーライティングや編集に回す予算を確保しづらかったことも背景にあるのだと思いますが、テキストのクオリティコントロールができる人材(プロ)が不足していたことが最大の要因でしょう。すでにその点に気づき始めた企業は多く、徐々にハードルも高くなっています。実際、その点を重視しているかどうかが、集客力などの差となって表れているのではないでしょうか。

今後はまず、各パートの専門性やスキルに対するハードルが必然的に上がっていくでしょうし、それらを統括的にオーガナイズする視点が求められます。同時に、分業化が進むだけではなく、できるだけ人数をかけずに(ワンストップで)仕事をこなしていくことも必要なケースも多くなるはずです。

このような構造は、実は先行メディアでは一般的なものであり、出版業界における編集者や、広告業界におけるプランナーは、まさに同じようなポジションで仕事をしています。彼らのWeb業界への流入は時代的必然とも言えますが、それだけではなく、従来のWeb制作者にも「編集力」の向上が求められます。

過去において「マス・コミュニケーション」と呼ばれてきたものは、真の意味で「マス」の「コミュニケーション」ではありませんでした。発信者がほぼ一方的に不特定多数の受信者にボールを投げていただけというのが実態でした。それに対してWebの世界では、発信者も受信者も(あるいは両者の間に明確な区別などなく)、相互にコミュニケーションをとれる状況が生まれています。

しかし、言葉が話せるからといって誰でも上手に話せるわけではないように、Webという技術があれば、コミュニケーションが無条件に深まるわけではありません。そこには「伝える技術」が必要です。今回は「コピーライティング」を一例としてとりあげましたが、「コンテンツ企画力」や「情報整理能力」についても、「何ができるか」だけではなく「いかに表現するか・伝えるか」のハードルが高くなっていくでしょう。つまり、「制作のプロ」ではなく「コミュニケーションのプロ」が求められているわけです。

単に見栄えの良いサイトや送り手(作り手)側の満足度が高いサイトを作っていれば合格点をもらえていた時代は終わりつつありますが、結果を出せるサイト制作のためには、コミュニケーションの質を高めていくことが必須です。そういう意味では、「コミュニケーションを演出するプロ」としての編集者という存在を求めているのは、作り手以上にユーザーなのかもしれません。

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