2005年01月13日
2005年のネットトレンドに乗り遅れるな ~ ネットビジネスにおけるコミュニティ戦略の重要性
吉村正春
ドラゴンフィールド株式会社
http://dragon.jp
激動の2004年が終わり、2005年が始まった。
ネットに関わるようになって、10年近く経つが、毎年ビッグサプライズに出会っているような気がする。昨年のYahoo!とGoogleの決別のようなニュースが飛び込んでくるのだろうか?(今年もすでに、Mac miniでタマゲタが)
10年の経験則に最近のネットのトレンドを照らし合わせて、2005年のネットトレンドを予測してみたい。
ネットの情報蓄積サイクル
インターネットにおける情報の発信量は、徐々に増えていくわけではなく、一定周期で、爆発的に情報が広がる期間と、ジワジワと広がる期間が交互にやって来る。ここで、Web=部屋、情報=本、に見立てて情報発信量の周期を説明してみる。
(1)部屋の中に本がたまっていく(Webにおける情報の増大)
↓
(2)本が家の中に溢れてくる(情報の飽和状態)
↓
(3)本の整理(情報の整理)
↓
(4)整理しても情報の収拾がつかなくなる(情報量の限界)
↓
(5)部屋の増築
↓
(1)へ
「部屋と本」の関係と違い、「Webと情報」には、破棄というプロセスがない。読まなくなった本を捨てて、部屋にスペースを作るという行為は、Webにおいては発生しない。情報が色褪せようが誤謬だろうが、ひたすら蓄積されていく。だからこそ、情報の整理という作業が不可避なのである。
この流れに照らして、2005年1月現在の位置を確認してみると、(2)から(3)の間にあたるだろう。情報の発信量が増大しつつも、一方で情報の整理の必要性がチラホラと噴出してきている。
情報発信量増大の引き金になったのが、一昨年あたりからのblogツール(はてなダイアリー、ココログなどのblogサービス含む)の流行であることに異論はないだろう。これにより、個人の情報発信者が爆発的に増加した。
情報の拡散と収束
blogの登場により、玉石混交だったネットの情報が、玉石石石混交となった。発信者が増えた割りに、情報の質は向上しておらず、ただ日記サイトが増えただけという印象だ。
このまま玉石石石混交情報が進めば、検索結果への不信感などに繋がっていくだろう。キーワードが入っているからといって、情報が希薄な日記サイトばかりが検索結果にゾロゾロ出てくるようでは、無理もない話といえる。
そこで、情報の整理の必要性が発生する。
かつて、個人サイトや検索エンジンスパムサイトが数多く登場した時期があった。そのときの救世主がGoogleである。Googleの登場により、検索結果の質は向上し、そこから検索エンジンの時代が始まった。
今、もっとも正確な答えが得られるツールは、検索エンジンではない。「はてな」や「Yahoo!知恵袋」「教えて!goo」など、ユーザー間で疑問や相談をやり取りするコミュニティサービスである。特定された質問だけに答えてくれるサービスなので当たり前といえば、当たり前なのだが。
それと、知人や友達だけが集うSNS(ソーシャルネットワーキングサービス)も、検索エンジンよりも有意義な情報を流してくれるかもしれない。そこには、ノイズを流す第三者はいないはずだから。
コミュニティにおけるクチコミパワー
かつては、A、B、C、、、という大手ニュースサイトに捕捉されれば、子ニュースサイト、孫ニュースサイト、とトップダウンによって、ネットのトレンドは伝播していった。
ところが、blogにはトラックバックという簡易リンク作成機能がある。このトラックバックによって子と孫、孫と孫が直接繋がるということが簡単にできるようになり、状況は一変する。
情報が、上流から下流に伝わるだけではなく、下流から上流、支流から支流と極めて自由に流通するようになった。上流下流という概念が無くなり、有機的に絡み始めているのだ。サイトの繋がりが高密度化されたといえるかもしれない。
サイト同士の繋がりが高密度化されてきたことにより、情報の伝播力は強くなったか?
クチコミの威力も増大したか?
半分正解、半分間違いである。
現在のネットは、コミュニティが乱立している状態である。そしてコミュニティの核となっているのが、SNSとblogなのだ。一個のコミュニティにおいて、クチコミの威力は絶大である。SNSで中心的人物が何かモノやサービスを勧めると、驚くべきコンバージョンレートを叩き出すという。
一方で、あるコミュニティで盛り上がっているモノやサービスが、他のコミュニティでは全く流行っていない、ということも起きている。情報が無制限に拡散することが少なくなっているのである。
クチコミパワーが、コミュニティ内で反響を繰り返し、深く影響を与えるようになっているのである。
かつては、情報発信の上流を押さえておけばよかった。しかし、今は状況が変わって、乱立するコミュニティにどれだけ入り込むことができるか、ということが重要になってきている。
ネットビジネスにおけるコミュニティの重要性
SNSとblogを核としたコミュニティをどのようにネットビジネスに取り込んでいけばいいのだろうか? 明らかにニュースバリューが高い情報は心配に及ばない。各コミュニティで勝手に取り上げられ、盛り上がるだろう。それくらいの情報の伝播力はもちろん健在である。
しかしニュースバリューが乏しいモノやサービスをアピールしたいときには、情報の伝播を待っているだけではうまくいかない。
とはいえ、無差別にコミュニティに働きかけても成果に繋がってこないのは自明の理であるので、ターゲットユーザーが集中しているコミュニティだけに積極的に働きかけることが必要になってくる。打てる対策は、ふたつ。
・ターゲットユーザーが潜むコミュニティをピックアップする目を養う。
・ターゲットユーザーが集まるコミュニティを作る。
特に、実現性が高く・効果が期待できるのは、後者である。ターゲットユーザーを自らが作ったコミュニティに集めて、囲い込むのだ。
これからのWebサイト制作会社に求められる条件も、Webサイト制作の技術と同等に、コミュニティを作れるか、ということが重要になってくるだろう。あるいは、感度の高いアンテナを常に張って、ターゲットユーザーに働きかけできるスキルも求められるはずである。
2005年のネットビジネスは、コミュニティを掌握したものが勝てる、といえよう。
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