2005年04月18日
SEOのトレンドを追う(4) サテライトサイトの実例 ~「相鉄Style」インタビュー
田中 亮
イー三六五株式会社
http://www.submit.ne.jp/
「サテライトサイトの構築はSEOとして有効である」と口を酸っぱくして言い続けてきた今シリーズ。サテライトサイトとはかくあるべき、といった事例をご紹介したいところです。
では実際に作ったひとに聞いてみよう、ということで、さぶみっと!JAPANと関わりが深い、イー・エージェンシー、サイトマネジメントグループの橋本 有悟氏にインタビューしました。
橋本氏は、相模鉄道グループのコミュニティサイト「相鉄Style」の制作にウェブディレクターとして携った人物。設計の段階から公開後のリアクションまでを伺いました。
・相鉄Style実績紹介
https://www.e-agency.co.jp/showcase/000017.html
・相鉄Style
http://sotetsu.net/
制作編
━<田中>まず、相鉄Styleのコンセプトはどういったものですか?
<橋本>当初、相模鉄道様の目的としては、
————————————————————————-
相鉄沿線に関わりのあるお客様をターゲットとした商用目的の“B to C ”サイト
を構築することにより、相鉄沿線の付加価値向上を目指すとともに、相鉄グルー
プ各社のWEBにおけるプロモーション媒体として活用する。
————————————————————————-
というものでした。そこで、
・他のサイトでは手に入らない情報
・沿線生活者にしか知り得ない情報
・生活者が発信しているからこそ信頼出来る情報
を発信していくというコンセプトを掲げました。生活者が本当に求めている情報を発信することで、「使ってもらえるサイト」を目指したわけです。
━<田中>
企業の押し付けではなく、ユーザーありき、ということですね。ではユーザーがコミュニケーションを取る手段としては掲示板などもありますが、なぜblogを使用するというアイデアに至ったのでしょうか?
<橋本>
まず最初に、
・お客様の視点で考える
・価値の高いコンテンツを作成
・集客効果を高める
という内容を考えたときに、blogツールが浮上してきました。プロジェクトがスタートした2004年4月は、ちょうどblogがネットで浸透しつつあった時期で、blogを採用することの話題性も魅力でした。
またコミュニティサイトを構築するにあたり、blogツールは、
・コミュニケーションツールとして有効な機能を備えている
・検索エンジン対策がしやすい
・安価なCMSとして利用が可能
というメリットもあります。
先日、「相鉄Style」のマイナーリニューアルでトラックバックの受付を開始したの
ですが、こういった他サイトとの連携機能があるのもblogならではですね。
━<田中>
ほとんどのページがMovableTypeで作られているということですが、制作するうえで制約などは発生しませんか?
<橋本>
サイト構築には、HTMLだけではなくテンプレートタグと呼ばれるMovableType独自のタグも駆使する必要があるので、そこが制約になるでしょうか。ただ、さほど難しいものではないので、大きな障壁にはならないと思います。ただ、企業のイメージを伝えるためのサイトデザインを目指すなら、テンプレートタグに精通する必要があるとは思います。
MovableTypeは、CGI(perl)のプログラムなので、最近の一般的なWebサーバーで、ほぼ問題なく動かすことは可能なので、導入の敷居は低いのですが、どのように使いこなし、どのようにサイトを構築するかが鍵になります。
━<田中>
blogを使用したことによるメリットってどういったものがありますか?
<橋本>
テンプレートが固まってしまえば、簡単な更新作業だけで静的なページを次々と制作できることが一番のメリットでしょうか。テンプレートにSEO(検索エンジン最適化)をあらかじめ施してしまえば、その後の更新作業で出来るページは、意識しなくてもSEOを考慮したページになっています。
「相鉄Style」は、駅ごとに募ったタウンライターに、駅周辺の店や施設の記事を登録してもらっています。登録作業にMovableTypeを使うことで、HTMLの知識がないライターでも記事を書き込んで更新してもらうだけで、テンプレートに基づいたページが簡単に生成されるのです。また、一枚のページができるだけではなく、トップページやカテゴリーページなどへのリンクも自動的に更新されます。
━<田中>
設計の段階ではどのようなことに重点を置かれましたか?
<橋本>
先程も述べましたが、やはりSEOに最も重点を置きました。また、サイト内の関連情報を探しやすいナビゲーションを考慮しています。サイト訪問者の望む情報を次々に追うことが出来るように配慮しました。
━<田中>
これは大変だった、というエピソードなどあればお願いします。
<橋本>
「タウンライターの募集」という点では相模鉄道様主導で行ったのですが、相当に大変だったそうです。駅構内でのチラシ配りや、電車内広告の活用など、鉄道会社ならではのプロモーションを行って頂きました。
制作に携わったサイトが電車内で告知されるというのもなかなか経験出来ないことなので、とてもエキサイティングでしたね。
SEO編
━<田中>
相鉄Styleは沿線の駅毎に「横浜Style」「湘南台Style」といった形で各サイトが独立していますがどういった経緯でこのようなマルチトップ型の設計に至ったのですか?
<橋本>
検索エンジンから個々のコラムページ(ボトムページ)への誘導ということを大前提に据えたので、必然的にそうなりました。はじめは、全体のトップページを構築しない、という大胆なサイト構成も考えました。却下されましたけど(笑)。
検索エンジンを意識すると、やはり、狭い地域の情報を密集させた方が対策として最適な形になります。神奈川県よりも、横浜市。横浜市よりも、横浜駅となるわけです。
「相鉄Style」では、「駅」という分け方が最小の地域単位だったわけです。相模鉄道様、ユーザー双方にとって、それが必然で最適な単位になっていると思います。
━<田中>
ニーズ毎に細分化されたサイトが集まって「相鉄Style」という大きなサイトを形成しているわけですね。小さなテーマが集まっているけど全体では一つのテーマ、という設計はSEO的にも有効だと思います。その他にマルチトップ型設計の特徴でどういったものがありますか?
<橋本>
あまり公表したくないのですが(笑)、駅ごとにトップページを作成したということで、Yahoo!ディレクトリに掲載されています。「横浜」という絶大な人気キーワードでもYahoo!では上位に表示されることになります。この登録により、トラフィックが一気に増大しました。
━<田中>
おぉ、検索してみると相鉄Styleトップだけでなく、「湘南台Style」など合計6サイトが掲載されてますね。Googleでも沿線の駅名で検索すると上位に表示されるなど、見事にSEOに成功している点も興味深いですね。
<橋本>
コラムの見せ方として、「店舗」を紹介する場合には、店舗名をタイトルに明記してもらうようにコラム掲載ルールを設けています。それによって、「店舗名」でSEOを施したコラムページができあがるわけです。Googleの検索結果では、駅名+店舗名で検索すると、かなり上位に表示されているんじゃないでしょうか。
また、カテゴリーごとの一覧ページも用意しているので、「駅名」+「グルメ」というキーワードでもほとんどの駅で1位に来ます。コラムが増えることで、関連キーワードによる相互リンクが常に増加していきますので、今後、より大きな成果が出る事になると思います。
━<田中>
設計の段階ではSEOの部分で弊社の林も参画したわけですが、ウェブディレクターとしてSEO対策についてどういう印象がありますか?
<橋本>
最近では、ウェブディレクターの業務は、とても多様化しています。お客様とのコミュニケーション、情報構造設計、画面設計、デザイン調整、機能の要件定義、SEO対策、SEO設計等々、数え切れないほどの業務が発生してしまいます。
そんな中、最近のウェブサイトでは必須事項となっている、「SEO」でコンサルから依頼出来る会社が身近にいるということは非常に心強いと感じています。
専門知識として、ウェブディレクターがSEOの最新情報を追うことは難しくなってきています。他社ではどのように対策をしているかはわかりませんが、やはり、餅は餅屋ということで、最近の案件ではSEOの部分をさぶみっと!JAPANにお願いしています。
━<田中>
山ほどある課題をクリアーして相鉄Styleは完成したわけですね。実際にサイトが出来上がった時の感想はいかがでしたか?
<橋本>
オープン当初は、1駅に数人とライターの数も少なかったので、「どうなっていくんだろう!?」という印象でした。しかし、今ではどの駅もライター陣が充実したことで活発になっていますし、SEOの成果も出ているので、今後ますます大きく育っていくだろうと期待しています。
相鉄Styleを見て、あの沿線沿いに住みたい!あのお店に行ってみたい!という方がいれば、制作サイドとして幸せなことだと思っています。
最後に
コンテンツ毎にトップページを作って、マルチトップ型のサイト構造に仕上げる。言うだけなら簡単ですが、制作するうえでは計り知れない試行錯誤があったようです。
しかし、実際にそれぞれのページを独立したコンテンツとして作り上げ、Yahoo!に載せて集客に成功しているという有言実行ぶりには、制作現場の人間ならではの説得力があります。
百聞は一見にしかず、ではありませんが、どうすれば集客が増えるのかは集客力のあるサイトを実際に見てみるのが一番です。こんなサイトにしたい!というビジョンが決まれば、あとは実行するのみなのです。
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