SEOのトレンドを追う(5)~ 検索エンジンにユーザーの意思を伝える

2005年6月23日 | 広報・PR・イベント運営担当

2005年06月23日

SEOのトレンドを追う(5)~ 検索エンジンにユーザーの意思を伝える

吉村正春
ドラゴンフィールド株式会社
http://dragon.jp

 数年前、Googleをはじめとする検索エンジンは、検索ニーズにしっかり応えてくれていた。ところが最近、検索エンジンは精彩を欠いているように映る。たしかに検索にヒットする数は段違いに多くなったように思うのだが、欲しい情報にピンポイントで行き着くことは難しくなってきている気がするのだ。

 blog普及に伴う情報供給過多状態に、今の検索エンジンは適合できていないのではないか。せめて、検索エンジンの検索結果に自分の意思を反映したい。そんな思いに呼応したのではないだろうか、検索ユーザーの意思を検索エンジンに反映させられる機能がポツポツと出始めている。おそらくこの機能はどんどん拡充、洗練され、検索エンジンのスタンダードな機能になっていくだろう。そうなったときに、SEOのあり方も変わらざるを得ない、と確信している。

更新頻度と検索頻度でバイアス

 2005年6月25日に正式オープンする「MSNサーチ」だが、(β版と同じ機能があるとして)一番注目しているのが「結果レベル調整」機能だ。これは、「更新頻度」「検索頻度」「一致度」の3種類のスライドバーが動かすことで、検索結果にバイアスをかけることができる機能である。

 「検索キーワードとそのページの内容が一致しているかどうか」「そのページが他のページから支持を受けているか」という従来の検索基準に新たな基準軸が加わるのは1検索ユーザーとして歓迎したいところだが、まだまだ結果レベル調節機能が十分に機能しているとは言い難く(正式版で完了されているかもしれない)、実用に耐えられるようになるのは、もうしばらくかかるかもしれない。

MSNサーチの「結果レベル調節」機能を使うことで、検索エンジンを使った段階でのユーザーの動向がつかめるようになるかもしれない。そうなれば、ユーザーの取りこぼしを未然に防ぐことができるに違いない。

ショッピングと情報収集でバイアス

 米Yahoo!は、2005年5月に「Yahoo! Mindset」β版を公開した。このYahoo!Mindsetはショッピング(shopping)と情報収集(researching)でバイアスをかけることができる。

 使い方は簡単で左に「shopping」、右に「researching」と書かれたスライドバーを左右に動かすだけ。「iPod」で検索してみると、スライドバーが中央のとき、検索結果トップは本家Apple社サイトのiPodページ。「shopping」側にスライドさせると、iPod販売サイトが上位を占め、「researching」側だと、iPodを考察しているblogやニュースサイトが上位を占めます。買いたいユーザーは左、知りたいユーザーは右、人気があるサイトを探すのなら中央といった具合。

 たしかに「iPod」で検索するユーザーが、全員同じ検索ニーズを抱えているはずはない。iPodについて知りたい人、買いたい人、色んなニーズを抱えて検索しているはずである。それらを満足させるには、検索結果にバイアスをかけるしか手段はないと思う。

 もしそれを超える機能があるとすれば、会話文入力型の検索機能になるだろうが、それが実用化レベルになるのはまだ先のことだ。しばらくは、多彩なバイアス機能が切磋琢磨する期間が続く。

SEOに与える影響

 ユーザーの検索ニーズに応えるため、バイアスがかけられる検索エンジンが増えてくるのは間違いない。むしろ、バイアスのかけ方の違いがそのまま検索エンジンの特徴になるだろう。情報収集に適した検索エンジン、Web分析に適した検索エンジンなどなど、検索ニーズに合わせて検索エンジンを選ぶことになる。

 そうなると、それに対応したSEOが必要になってくることは想像に難くない。「Yahoo!Mindset」でいえば、iPodを取り扱うECサイトは、shoppinng側で検索されたときに検索結果上位に来ないと意味がない。しかし逆に、iPod情報サイトだが、その中のアフィリエイトで収益を上げているのであれば、research側よりもshopping側でこそ上位表示されたいと思うだろう。どのようなユーザーに働きかけをしたいのかによって、コンテンツのあり方から見直しを余儀なくされるはずだ。

 今のところ、何をもって、shopping寄りかresearch寄りか判断しているのか分析を待っている状態なので、SEOの施しようがないが(そもそも正式版としても公開されていないし)、ともあれバイアス機能で、意思を持ったユーザーにアプローチできる機会が増え、さらにビジネスチャンスを産む日が来ることは間違いない。

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