2005年09月15日
RSSマーケティング、5つの疑問(1)
宮永 邦彦
株式会社イーエージェンシー
Webマーケティング、メールマーケティング、SEO/SEM。これらはインターネットにおけるユーザーとの接点に着目したマーケティング手法です。
次の本命として注目されているのが「RSSマーケティング(※)」です。RSSは知っているけど、どうマーケティングに活かしていくのでしょうか。
それをいくつかの疑問に置き換えて、RSSマーケティングについて考えてみましょう。
(※:「RSSフィード」と呼ぶのが適切な文脈もありますが、今回は「RSS」で統一しました)
どうしてRSSが注目される?
RSSの普及に関しては現在のところ、技術的な可能性が大きな推進力になっていると感じます。
・RSSはXMLである
・RSSは正規化された情報である
XMLは、逆説的にRSSの普及もあって市場での理解が一段と進みました。XMLはとにかくプログラムで扱いやすいフォーマットなので、システムの開発コストを抑えることができます。
正規化というのは聞き慣れない言葉かもしれませんが、「情報の属性が一定で共通している」状態のことです。属性が共通しているので、混ぜ合わせたり削り取ったりといった加工がしやすいのです。
たとえば同じ会社の名簿であれば、記載項目が同じです。だから結合といった加工がしやすい。でも他の会社の名簿と組み合わせてと言われると、話は面倒です。同じ項目を集めていなかったり、同じ項目名ではなかったり。
あとは想像力次第でフィルタリング(加工)したり、アグリゲーション(集約)したり、縦横無尽に情報を自動編集できるのです。
RSSは集客に役立つ?
イエスでもありノーでもあります。
企業がRSSを提供し、それを生活者が購読するシチュエーションでは、ある程度は企業に親近感ないしロイヤルティを抱いています。これは集客以後の問題です。メール的RSSではスパムフリーであることは、裏を返せば見込読者への一斉配送もできないことを意味します。
この場合はリピーター向けの情報や、購買の検討段階に入った生活者へ向けた情報が最適です。
では逆にRSSが集客に役立つときはいつでしょうか。次の質問で考えてみましょう。
RSS広告とは?
広告への活用パターンは現在のところ大きくふたつあります。
まずは広告配信。他のRSSの一部に広告を挟み込んでもらい、自社サイトに誘導します。逆に自分のRSSの一部を広告枠として提供することもできます。
RSSを入力して、RSS(あるいは他の情報)を出力する「フィルタリング」の一例です。
フィルタリングの可能性をよく物語るのが、FeedBurnerというサービスです。
・[FeedBurner – Point your feed here. We’ll do the rest.]
http://www.feedburner.com
RSSをFeedBurnerに通すことで、アクセス解析をしてくれたり、RSSを元にした動的バナー画像を生成してくれます。今回は紙幅の関係で細かく解説できませんが、いつかご紹介したいと思います。
・FeedBurnerの使い方 | そっぽブログ
http://3ven.ameblo.jp/entry-4c9e24b0e6019e08f5ef6549bef59bbc.html
・海外RSS最新動向と FeedBurner : NDO::Weblog
http://naoya.dyndns.org/~naoya/mt/archives/001024.html
広告としての応用のもう一つはポータルサイトの形成です。
複数のRSSを集約(アグリゲーション)し、読者に併せた文脈で加工することでポータルサイトを形成します。特定分野に絞ったRSS検索や、比較系サイトが数多く現れ始めています。
その読者は横断的で広い範囲の情報を求めており、まさに集客の役割を果たします。
RSSはメールに代わる?
さて、一般的なRSSリーダーのインターフェースを思い出してください。
ツリー状の分類があって、新着情報の一覧があって、更新されたページの詳細を表示する部分があります。これってまさにメールですね(メールのインターフェースを元に作られたので当たり前なのですが)。
ではメールとの違いは何でしょうか?
・返信ができない
・パーソナライズしにくい
返信できないというのはコメント機能などでカバーするとしたら、RSSは「非対称的メール」として機能することになります。なんといっても、
・スパムがない
今や全トラフィックの半分以上を占めるとも言われるスパムから解放され、情報を望む生活者にダイレクトに情報を届けられる夢のメディアと言えないでしょうか(しかも読者はその情報を「ご指名」で望んでいるときてる!)。
パーソナライズについては、もう少しセキュリティ面での技術革新が必要でしょう。今の技術のままでは他人のパーソナライズド・フィードがどんどんのぞき見できてしまいます。
RSSは標準技術になる?
インターネットコム、インフォプラントが2005年3月31日に実施した調査では、
RSSを知っていて使っている……….8.0%
RSSを知っていて使ったことがある….2.7%
RSSを知っているが使ったことはない.20.3%
RSSを知らない…………………69.0%
とのことです。実際にRSSを使った経験を持つ人はわずか1割程度。
一方、ブログやRSS文化で先行すると思われる米国でも、米Pew Internet & AmericanLife Projectが2005年7月20日に発表した調査結果では、
RSSを知っている…….9%
あまりよくしらない…65%
知らない………….26%
とのこと。割合においてはあまり変わらないようです。
集客手段としてはまだまだ頼りない数字です。
次期IE、Internet Explorer 7で、RSSの購読が標準機能になることが決まり、話題を集めています。もっともRSSに「Web Feeds」という別称を使うことを発表し、違う意味でも話題になっていますが。
Web Feedsという名称や、マイクロソフトお得意の規格拡張への懸念をひとまず置いておけば、別称には賛成です。今やいちいち「WWW」と言っている人はいませんね。「ウェブ」です。ウェブサイトの構成単位を「ページ」と呼ぶように、いずれ「フィード」という呼称が一般化するような気もします(日本語ネイティブにはピンと来ませんけども)。
次回はRSS普及のために必要な条件について語ります。
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