2006年02月09日
ビデオPodcastingで営業革命
宮永 邦彦
アイデアマンズ株式会社
http://www.ideamans.com/
PodcastingとビデオPodcasting
昨年から今年にかけて、音声をmp3形式で配信するいわば個人のネットラジオ「Podcasting」が流行の兆しを見せています。個人にも手が出せるネットラジオの技術は以前からあったのですが、長いあいだ決定打に欠けていました。
しかしPodcastingはiPod+iTunesの存在が視聴の習慣化を助け、聴く場所を選ばせないという強烈なブレークスルーとなりました。そして昨年に発売されたVideo iPodにより、次は「ビデオPodcasting」のムーブメントを予感させています。
ブログ、Podcasting、ビデオPodcastingという流れは、個人発信のメディアが技術とリテラシーの進歩によりリッチ化している確かな傾向として捉えることができます。かつて新聞・雑誌・書籍の役割だった活字による情報発信は、ホームページやブログがその独壇場を侵食しました。PodcastingやビデオPodcastingも、ラジオやテレビを同じように圧迫していく可能性があります。
個人発信・個人品質メディアの許容
また昨年は、企業がブログを活用したプロモーションを積極的に実施した年でもありました。作為が不本意な結果を招いたケースもありましたが、予想以上に功を奏した成功例も少なくありません。企業ブログの魅力は、経営者や商品開発者による飾り気のない生の声でした。
他面でこれらの現象は、世間が個人発信、個人品質のメディアを許容する土台が醸成されつつある動きとも言えるでしょう。一部の場面においては看板やデザインの品質よりも大切なのは情報そのものであったり、発信者への愛着であり、生活者の情報への接し方は確実に変わりつつあるのです。
Podcasting、ビデオPodcastingのキーは定型化
もうひとつネットメディアの形成課程で欠かせないのが、コンテンツの定型化であると考えています。ブログが個人ホームページがブログにとって代わった要因は、定型化により情報発信の労力が大きく削減され、類型化された前例がさらにブログに挑戦する敷居を下げたことでした。Podcastingはすでにラジオ番組のモデルにしたものが多く存在していますが、さらにその「型」がはっきりとしてくることによって抵抗
感が薄れ、自分もやってみようと思う人の数が増えるのではないでしょうか。ビデオPodcastingもまた然りです。
ビデオPodcastingによる商品説明
そこでビデオPodcastingの「型」のひとつとして、またWebマーケティングの次の一手として提案したいのが、ビデオPodcastingによる商品説明です。
石原明氏のベストセラー「営業マンは断ることを覚えなさい」では、営業という行為を集客~見込客のフォロー~販売~顧客化という4つのステージに分けることを説いています。
インターネット時代の営業は、集客がバナー広告、アフィリエイト、SEO/SEMという形で成熟してきました。販売についてはEC、顧客化については会員データベースやユーザーコミュニティという、定石と呼べる手法があります。ところが見込客のフォロー(商品説明)となると、よほど予算の大きなページではない限り、パンフレットをWebに書き起こした程度のものや、それもまだマシな方で、具体的に欠けたセールストークだけがあって「詳しくは(とにかく)お問い合わせください」といったページも少なくありません。
するとある程度高額な商品だと、「ちょっと説明に来てよ」と営業マンが呼ばれることになります。ところが営業マンが呼ばれるのもそう安くありません。移動も含めた2時間の営業は、人件費だけでも最低3,000円程度は発生します。結果が単なる冷やかしで、やっぱりいらない、ということになると機会損失でさらにコストが膨らみ、営業マン自身も浮かばれません。
Webサイトでじっくりと商品説明を読んでもらい、本当に購入する意志のあるお客さんにだけ、営業マンが伺う、そんな営業フローができればよいと思いませんか?これは前掲書「営業マンは断ることを覚えなさい」の一つの大きなテーマでもありました。逆説的に真剣に購入を検討している人ほど既存の情報を隅々まで評価するものであり、本当は買う気がない人ほど、とりあえず営業マンを呼んでみるのかもしれません。
商品説明のために営業マンが呼ばれる仮説
商品説明のために営業マンがなぜ呼ばれるのか、こんな仮説を立ててみました。
(1)実物を、動いているところを見たい(読むのが面倒くさい)
(2)売っている人の顔をみたい
(3)疑問点を即座に答えて欲しい
(3)についてはさすがにまだ無理ですが、(1)と(2)については、ビデオPodcastingを活用することによって、低コストに実現できるのではないか?というのが今回の提案です。
現在はまだ、企業が映像で商品紹介を行うとしたら、テレビCM並み、ドキュメンタリー作品並みのプロモーション映像を作って当然、お粗末な映像を流してもブランドイメージを傷つけるだけ、という風潮があります。ところがブログによる生の声が受け入れられたように、経営者・商品開発者が自ら出演する低予算なビデオPodcastingも工夫によっては受け入れられるのではないでしょうか。
マイクロソフトの事例
実はマイクロソフトが、PowerPointによるプレゼンテーションに技術トレーナーの生の声を乗せて映像配信をしています。新技術の概要をライトニングに紹介する「300秒でズバリ!!」シリーズです。やはりプロのナレーションに比べるとかなり見劣りがしますが、やはり気になる技術キーワードがあると見てしまうものです。何より制作コストは、一般的なプロモーション映像に比べて桁違いで安いに違いありません。
・「300秒でズバリ!!」&「10行でズバリ!!」シリーズ
http://c01.wx0.net/?c=31724&m=1952&h=85e971f691
ビデオPodcastingのキラーソフト「Camtasia Studio」
ビデオPodcastingによる商品説明を行う際に、現在のところキラーソフトとしてプッシュしたいのが米TechSmith社によるCamtasia Studioです。
・Camtasia Studio Screen Recorder for Demos, Presentations and Training
http://c01.wx0.net/?c=31725&m=1952&h=dac2e3308b
Going My WayさんがScreenCastingのためのソフトウェアとして紹介し、自身も同ソフトで動画によるTipsを公開していたので、ご存じの方も多いかもしれません。
・Camtasia Studioを使ってScreenCasting
http://c01.wx0.net/?c=31726&m=1952&h=4afe90f569 (Going My Way)
Camtasia Studioはブラウザを含むソフトウェアの操作画面だけでなく、PowerPointのプレゼンテーションをAVI、SWFなど様々な形式で録画することができます。同時にWebカメラに写した映像を右下にスーパー・インポーズで録画したり、マイクからの音声も同時に録音でき、臨場感のある説明映像を簡単に作成することができます。
残念なことに日本語には対応していませんが、機能は比較的シンプルで、少しでも映像編集系のソフトウェアに触れたことがある人であれば、操作しやすい作りになっています。もし紹介する商品がソフトウェアやWebサイトであれば、その操作画面を説明するのもよいですし、お決まりのPowerPointを使ったセールトークがあるのなら、そのプレゼンテーションを録画・公開するのもよいでしょう。
ユーザビリティテストにも使えるCamtasia Studio
話題がそれますが、Camtasia StudioはWebサイトやソフトウェアのユーザビリティテストにも応用できます。Camtasia Studioの動作は非常に軽快で、録画中に他のソフトウェアの動作が極端に遅くなることがありません。また録画された動画も高いフレームレートで再現されます。Webカメラとマイクによって被験者の生の反応を記録することもできます。
Camtasia Studioのウェブサイトではあまりその用途に触れていませんが、ユーザビリティテストのために欲しい機能をほぼ兼ね備えていると言えるでしょう。
まとめ
以上、「ビデオPodcastingを活用した商品説明コンテンツ」の提案でした。
ポイントを整理してみると、
・集客~見込客のフォロー~購買~顧客化の流れにおいて商品説明をより強化できないだろうか
・徒労に終わることが多い「商品説明のための営業」を減らすことはできないだろうか
・Podcasting、ビデオPodcastingは個人品質のリッチメディアを受け入れる土壌を作りつつあるのではないか
・決まった「型」を作ることによって、コンテンツ制作のコストや敷居を下げることができないだろうか
Podcasting、ビデオPodcastingはまだまだ敷居の高い表現です。日本は特に、オープンな場で声を出したり身振り手振りでプレゼンテーションをするという教育を受けていません。近年の個人情報に対する意識の高まりもあって、Webで自身の声や映像が公開されることに対して大きな抵抗があるでしょう。
しかしインターネットが普及するより前に、これほど多くの人が文章によって自分の日常を公開する社会を予見できたでしょうか。Podcasting、ビデオPodcastingは最終的にブログほどの利用者を勝ち取れないまでも、個人レベルのポピュラーな表現のひとつになっていく可能性があると感じています。そして営業における商品説明ステージが抱える問題を解決する手法として、大いに注目したい動きでもあります。
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