みんなで楽しむアクセスログ- ログブログはじめました

2006年6月15日 | 広報・PR・イベント運営担当

2006年06月15日

みんなで楽しむアクセスログ- ログブログはじめました

宮永 邦彦
アイデアマンズ株式会社
http://www.ideamans.com/

「うちのアクセスログ、公開しちゃったらどうなるかな?」

社内のメンバーで飲んでいるときに急にこんな話が出ました。

そこでまずサイトのアクセスログを7種類のオープンソースのログ解析ツールで定期的に解析し、その結果を誰にでも見てもらえるようにしました。さらに自分たちのコメントをつけられるように無料掲示板をつけてみました。

その即席コンテンツをログブログと呼ぶことにしました。
大したアクセス数ではありませんが、アイデアマンズではアクセスログを公表することにしました。

・アイデアマンズ-ログブログβ版
http://c01.wx0.net/?c=34189&m=1996&h=f860310b8b

カンパニーサイトとブログサイト、弊社の2つのサイトを解析対象としています。

解析ツールはタブで、サイトは右上のプルダウンで選択できます。
ちなみにログ解析後、IPアドレスは念のため伏せ字にしてあります

新しいアクセスログの使い方

こんな風にすべてを一般公開してしまうのは極端な例ですが、ログ解析というとマーケターだけが戦略やら意志決定やら難しいことを考えながらログを読むという方向に進化しているように思います。

ちょっと指向を変えて、サイト関係者でもっと広くカジュアルに共有するアクセスログ、みんなで楽しむアクセスログというあり方があってもよいのではないかと考えています。企業で社員が自分たちの成果、社会からの注目を確認するマネジメントツールとしてアクセスログ解析を活用できないでしょうか、というのが今回のアイデアです。

社会からの注目が手早くわかる数字

Webサイトのアクセスログは、社会の注目がサイトにどれだけ集まっているのか、ほぼリアルタイムでわかる優れた記録データです。しかも細分化されていて、今どこに注目が集まっているのかも明確に記録されています。

アクセスログをよく見ている人であればいろいろな動きが目にとまるでしょう。
ログブログをざっと見るだけでも、

・アイデアマンズ株式会社×Webdruid×5月×Users flow
ツール系のページの訪問者はダウンロードや特徴といった目的重視だが、会社概要 は「前へ」「次へ」といったナビゲーションを使って、一通り見てくれている人が多い。

・アイデアマンズブログ×Webalizer
アクセス数が着実に伸びている。ほぼ毎日ペースで記事を書いていいる成果が大きい。デザイナー向けのTips記事の人気が高い。

・アイデアマンズ株式会社×AWStats
Google経由でアクセスする人がYahoo!経由より多い。アクセスする人多くはインターネットのヘビーユーザーであることが予測される。

といったことが読み取れます。

これらはマーケティングの側面だけではなく、会社全体の活動やスタッフの成果に社会がどう注目しているかがわかる部分です。

フィードバックを受ける喜び

メールを送ったり、掲示板に何かを書き込んだり、ブログにコメントをつけたりすると、次に気になるのがリアクションやフィードバックです。哲学的な言い回しになりますが、人はむしろそのリアクションのためにアクションを起こすのかもしれません。

会社のWebサイトは商品やサービス、会社を知ってもらうために存在するのですが、見方を変えればスタッフの成果に基づきアクションを起こしていると言えるでしょう。

それなのにリアクションがスタッフ本人たちにフィードバックされていないわけです。
これはインターネットならではの情報の流れが断絶している部分で、非常にもったいなく感じています。

現在、スタッフが自分の仕事を評価する指標として売上や粗利を挙げている会社が多いでしょう。自分自身や所属する部署の業績をリアルタイムで知るためには、発達した管理機能が備わってなければなりません。上場企業だと株価という究極の数字がありますが、おおざっぱすぎて自分のがんばりがどこに反映されているのかわかりません。

アクセスログはほとんど無料で手に入り、しかも自動で運用できるフィードバック情報であり、マネジメントに活用できる余地が多く残されています。

でもアクセスログはわかりにくい

しかしながらアクセスログを共有できない、その大きな理由は読みにくさにあります。
もちろん商用ツールであれば、統計の見せ方は非常に洗練されていますし、オープンソースのものも日常的なチェックには十分です。しかしページビューやらユニークユーザーやらリファラーやら、専門用語が多すぎます。またスナップショット的、静的な集計には強いですが、傾向を掴むにはヒューリスティックな能力が要求されます。

経済指標もそうですね。株価や為替や長期金利やいろいろなインデックスが公表されています。じゃあ結局私たちの生活に何が起こってるの?何が変わったの?と聞かれて答えられるようになるまでには、相当な勉強や経験が必要です。

そこで必要なのが、データの読み方や文脈を与えてあげることだと考えました。

アクセスログを見て気づいたこと、最近健闘しているページなどをどんどん文章にしていきます。客観的なデータだけではなく、コメントとしてデータに文脈を添えていくのです。特定の担当者だけが書き込む形でも、オープンに誰でも書き込める形でもよいと思います。

ログブログに掲示板を付けた理由はそこにあります。

たとえばある商品やサービスに注目が集まっている場合、その事実を公表して関連部署に伝えてあげるだけで無言の表彰になります。社内の関係者に大いに喜ばれることでしょう。誰が何に頑張っているのかも感じやすくなります。

それがしっかりと運用されるようになったら、きっと強力なマネジメントツールになるはずです。

こんなログ解析ツールが欲しい

ログブログでもご覧いただけるように、アクセスログを細かく集計するツールはオープンソースやフリーウェアとしても数多く存在します。

しかし静的な集計は高機能でも、推移や傾向の把握が難しいものが多いと感じました。
また、通年、1ヶ月毎、1週間毎というようにスケールをスムーズに切り替えられるものにも出会えませんでした。たとえばWebから利用できる株価や為替のチャートアプリケーションがありますが、あの操作感を実現するものは見あたりません。
(あいにく商用ツールには詳しくないので、存在しているかもしれませんが)

また複数のサイトのアクセスログを横断でき、集計レポートを自由に編集できるツールがあると重宝します。たとえば過去1週間のWebサイトとブログの推移と、全サイトとECサイトとのコンバージョンをひと目で見たい、といったことをしようとすると現在では一苦労です。

日常的な解析の対象となるデータやスパンは、会社の状況や担当者の立場によって大きく変わります。今後は「いつ、誰のための集計なのか」そこに注目した付加価値が生まれることに期待したいところです。

アクセスログ解析からアクセスログ共有へ

以上、マーケティングやら意志決定といった難しい用途だけではなく、社会の注目を反映するツールとして広く共有することで、これまでと違う楽しいアクセスログの使い方ができないか、という提案でした。

商品のコアな利用者の一部にこのログを公開して、どうすればもっとアクセス数が上がるか、掲示板で大いに議論してもらうというのも、ユーザー参加型のビジネス展開に有効かもしれませんね。

そのためにはアクセスログの集計データにいかに文脈を添えるか、誰のために概略化するかがキーになってきます。

アイデアマンズのログブログではその試験的なコンテンツとして、今後もアクセスログを題材にした企画を実施していきたいと考えています。

厳しい見方ですが、企業内のほとんどの人がアクセスログを見ていない状況は、企業が一方的に情報を送りながらも中の人が実際には返答に耳を貸していない状況と言えないでしょうか。もしかしたら今Webサイトの運営に欠けているのは技術ではなく、この受容体の部分かもしれません。

CMSやブログを導入してテンポのよい情報提供をし、社員全員がそのアクセスログを当事者として熟視する、そうなったときにWebサイトは、企業と生活者の長く濃密な対話の場になっていくように思います。アクセスが数の問題から質の問題に転化されていくことでしょう。

Webサイトを通じた企業と生活者との対話は、まだまだ進歩の余地がある分、大きな可能性を感じます。

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