エイチームブライズ様 DX・データ活用事例 電話コンタクトの効率3倍アップを実現したアウトバウンドDXとは?

株式会社エイチームブライズ様は、「一組でも多くのカップルに“理想の結婚式”のきっかけを」をミッションとして、結婚式場情報サイト「ハナユメ」全国のフォトウエディング・前撮り予約サイト「ハナユメフォト」など、結婚式に関連した情報提供事業を展開されています。

昨今注目を集めるDX(デジタルトランスフォーメーション)については、いち早く2018年より「ブライズDX」と銘打って取り組まれています。その一環として、結婚式場情報サイト「ハナユメ」事業において、コンタクト業務の効率化を目指し、主に対面接客(店舗・オンライン)への誘導数の成果向上を図るプロジェクト「アウトバウンドDX」を立ち上げられました。その中で、機械学習モデルによるパイプライン開発を、イー・エージェンシーが支援させていただきました。

今回は「アウトバウンドDX」の目的や施策、成果と、推進されたお二人へのインタビューをご紹介します。

※ インタビューは、株式会社エイチームブライズ様のご協力の下、オンラインで実施しました。写真は、緊急事態宣言等の期間外にコロナ対策に十分配慮して撮影していただいたものをご提供いただきました。

今回のプロジェクト「アウトバウンドDX」について

対象

目的

  • コンタクト業務の時間当たりの対面接客(店舗・オンライン)への誘導成果向上。

課題

  • 会員の属性や定性データなど自社内の限られた情報のみを元にコンタクトをとっている。
  • Google アナリティクスなどの外部ツールのデータが連携されていない。

施策「アウトバウンドDX」(解決に向けたお取り組み)

エイチームブライズ様 DX・データ活用事例 電話コンタクトの効率3倍アップを実現したアウトバウンドDXとは?
  • サイト行動データから対面接客など次のアクションへの移行の可能性・マッチ度をスコアリングし、スコアの高い会員から順にコンタクトをとることで、時間当たりの成果向上を図る。
  • エイチームブライズ様・イー・エージェンシー共同で機械学習パイプラインを開発し、施策データの取得からスコアリング、アプロ―チリスト連携までの流れを自動化する。
  • 使用ツール
    ・ サイト行動データ:Google アナリティクス 360
    ・ 機械学習 :AutoML
    ・ データ基盤:BigQuery等
    ・ 顧客データ:自社DB・Service Cloud

成果

  • 機械学習による高スコア会員の誘導効率が全体平均の約3倍にアップ。

エイチームブライズ様インタビュー

エイチームブライズ様 DX・データ活用事例 電話コンタクトの効率3倍アップを実現したアウトバウンドDXとは?

ご協力(右から順に)
株式会社エイチームブライズ
DX推進部 部長 馬渕 葉子 様
DX推進部 竹田 昌広 様
DX推進部 小野 嵩征 様

今回は「アウトバウンドDX」を中心となって推進されたプロジェクトチームから、馬渕様・竹田様のお二人に、その目的や施策、成果についてお話を伺いました。

※ インタビューは、株式会社エイチームブライズ様のご協力の下、オンラインで実施しました。写真は、緊急事態宣言等の期間外にコロナ対策に十分配慮して撮影していただいたものをご提供いただきました。

データ連携・一元管理でお客様のインサイトを得て、効率的で理想的な結婚式場探しをサポート

昨今コロナ禍の影響もあってDXが盛んに取り上げられています。エイチームブライズ様の「ブライズDX」とはどのような取り組みでしょうか?

馬渕様:「ブライズDX」は2018年11月から開始していますので、コロナ禍以前からの取り組みになります。私たちはOMO(Online Merges with Offline)のサービスを提供しており、オンラインだけでなくオフラインでもお客様との接触を密にしてサポートさせていただいています。もちろんウェブサイトで結婚式場の検索から結婚式の予約まで一括してできるので、オンラインで完結されるお客様もいらっしゃいます。そうしたお客様の行動データやご希望の条件などが、いろいろなデータ基盤に散在している状況でした。

お客様の情報が一つにまとまっていないので、お客様のご希望をウェブサイトでも店舗でも結婚式場でもお伺いしていました。まるでお客様自身にDBになっていただいて、各チャネルで情報を提供していただき、その場その場でその情報のみを持って接客するという状態でした。そういう単発的なサービス提供になってしまっているのが事業の課題でした。

「SoR(System of Records:記録のためのシステム)」「SoI(System of Insights:インサイトのためのシステム)」という考え方がありますが、まさにそれです。記録としてのDBは備わっていても、そこからインサイトを得て事業を発展させていくことができていないのではないか? その観点から、しっかりとインサイトを得るためには、各チャネルでお客様からいただいた情報を一元管理していくべきだという思想のもと、DXプロジェクト「ブライズDX」が立ち上がりました。

これは私たちが掲げる経営理念「一組でも多くのカップルに“理想の結婚式”のきっかけを」に沿ったプロジェクトでもあります。お客様に結婚というタイミングをいちばん充実したかたちで迎えていただき、満足のいく一日を過ごしていただくためには、提案できるサービスの幅や提供するサービスの質を上げていく必要があります。それには「ブライズDX」で作り上げたデータ基盤が役に立ってくれるだろうと考えています。

また、お客様と最終的にご相談されるのは結婚式場様です。お客様の理想に合う結婚式場様にご紹介し、そこでしっかりと成約されるという状況を作り出すためには、ご紹介の質を上げていかなければなりません。それにもこのDBを活用していけたらと考えています。お客様に提供するサービスの質を上げ、結婚式場様にもインサイトを共有することで、双方にとって効率的で理想的な結婚式場探しができるようにしていきたいと考えています。

DXで変化に対応して、ブライダル市場の再成長につなげたい

コロナ禍をはじめとするブライダル業界のビジネス環境の変化と、その対応についてお聞かせください。

馬渕様:コロナ禍でより顕著になってきましたが、大勢集まってセレモニーを行う従来型の結婚式ではないスタイルを選ばれる方も多くなっています。たとえば、記念に写真を残すフォトウエディングや指輪の交換のみを選ぶ方も増えています。

結婚というタイミングをどのように過ごされるか、個人の多種多様な価値観やスタイルによって変わってきていますので、お客様の状況に合わせて結婚式以外のソリューションを提供していくことも考えています。あるいは、結婚というタイミングに紐づいて、新居探しや引っ越し、保険の見直しなど、ライフスタイルの提案ということにも広がっていくと思います。

結婚式場様への貢献もこれまで以上に意識しています。昨今のライフスタイルの変化に対応するべく、結婚式場様もお客様の声をより大切にされていますので、「ブライズDX」のDBに蓄積された多種多様な情報を活用して、結婚式場様にも新しいスタイルや事業提案のようなことできないかと考えています。

そのためには結婚式場様からもデータをご提供いただかなければなりませんが、結婚式場様によってはCRMやデータ基盤の取り組みが進んでいる場合もあれば、デジタル化が進んでいない場合もあり、この点を課題と感じています。業界問わずアナログ経営だった企業がDXによって業績を伸ばしたという事例がよく取り上げられていますので、私たちの取り組みがブライダル市場の再成長につながれば、と期待しています。

機械学習で架電効率を改善し、対面接客数を最大化

今回のプロジェクト「アウトバウンドDX」とはどのような取り組みでしょうか?

竹田様:私たちは様々な商材を提案していますが、いちばんのミッションはお客様を結婚式場のご成約までサポートして導くことです。接客チャネルは対面(店舗・オンライン)、LINE、電話、サイトと4つありますが、そのうちいちばんお客様のニーズに沿った結婚式場のご提案がしやすく、いちばんご成約に至りやすいのは店舗での接客です。アウトバウンドチームも対面接客への誘致をメインの活動に置いています。

「アウトバウンドDX」以前は、お客様のデータは、お電話したかどうか、予約まで至ったかどうかというくらいしか取れていませんでした。どのようなお客様がいて、何を話して、何を求めているのか、どんな結婚式場を探しているのか、どんなお悩みを持っているのか、というデータが不足、もしくは二次活用ができない形で蓄積されていたため、あまり適切なアプローチができていない状況でした。そこで、まずSalesforceを導入して、お客様にお電話した際にヒアリングした内容や次のアクションをデータとして蓄積できるようにしました。

次に、成約数を最大化していくためには、お客様にとって最適なタイミングで適切な接客チャネルへご案内することが課題となります。そこで、通話内容のデータとサイト行動をもとに機械学習を用いて対面接客のご案内がマッチするかを判定して、優先的にお電話することにしました。架電(電話アプローチ)の効率を上げて、対面での接客数を最大化するということです。

お客様へのヒアリング内容とサイト内の行動データとの紐付けについては、最初は別のツールも検討していましたが、行動データを十分に活用するために、サイトトラッキング用のツールであるGoogle アナリティクスやBigQueryを選びました。「アウトバウンドDX」以前からサイトのトラッキングや分析にはGoogle アナリティクスやBigQueryを使っていますので、なじみも深く、データも信頼できます。今回の施策に活用できて満足しています。

データ連携から事業連携へ ライフサイクルに応じた最適なタイミングで最適なサービスを提案

「アウトバウンドDX」の成果の手応えや、「ブライズDX」も含めた今後の展開についてお聞かせください。

竹田様:研究開発の意味合いも強く、基準値や目標値を厳密に設定していたわけではないので感覚的な話になりますが、おおむね満足しています。機械学習がうまく機能したことに一定の手応えを感じています。今後の運用に乗せられる基準に達してくれたのではないかと評価しています。

より多くのお客様を成約に導くというミッションにおいて、架電(電話アプローチ)による対面接客への誘致という点では相応の改善ができました。今後はLINEやWebなど、ほかの接客チャネルの成果向上にも取り組んでいきたいです。

また、フォトウエディングや指輪交換など派生する商材の提案にも取り組みたいです。指輪を購入してから結婚式場を探されるお客様もいらっしゃるので、適切なタイミングでアプローチできるようにオペレーションを構築していきたいところです。

馬渕様:DXに限らず、事業のオペレーションの根本から変えていくということになると、事業側の覚悟が必要だなとすごく感じました。プロジェクトの構想や判断、進行の部分をパートナー会社様に頼り切ってしまうと、場合によっては実態とは掛け離れたものになってしまい、オペレーションに乗らないということもあり得ると思います。今回のプロジェクトでは、両社の役割や責任について、その時々で最適になるように調整しながら、ともに主体的に進めることができました。これはDXやこのプロジェクトに限らず基本概念なのだと、あらためて痛感したところです。

今後取り組みたいのは、オフラインで人が取得するデータ、特に対面での接客ログや購買データと、アウトバウンドのコンタクト履歴データの連携です。対面接客のログや購買データは自社構築のCRMに、アウトバウンドのコンタクト履歴データはSalesforceに集約されています。そこで、前者をSalesforceに移行して汎用的で発展性のあるデータに昇華できないか検討しています。

そうすると、営業活動としてはSalesforceにデータが蓄積され、BtoBtoCのデータが一元管理できるようになります。抜本的なオペレーションの変更を伴いますが、「SoI(System of Insights:インサイトのためのシステム)」としてのデータ活用が実現できるのではないでしょうか。

ゆくゆくはエイチームグループが提供する、ライフスタイルをサポートする事業を連携させ、ライフサイクルに応じた最適なタイミングで最適なサービスを提案できるようになると、機会損失も最小化できると考えています。また一方で、業務の自動化・効率化を進めることで、社内のスタッフやお取引先様が、もっとお客様に向き合う時間を創出できるようになることを思い描いています。

Google製品の知見と丁寧な対応 今後もデータ基盤の構築・連携の支援を

イー・エージェンシーにご依頼いただいた決め手や満足度、今後の期待などお聞かせください。

竹田様:私たち自身にはGoogle Cloud Platformの知見がなく、機械学習も含めてパイプラインの開発経験もなかったので、どこか他社様にご協力いただこうと考えていました。イー・エージェンシーとはエイチームグループのGoogle アナリティクス 360の契約やGoogle製品のサポートでご協力いただいており、信頼の置けるパートナーとして声を掛けました。

プロジェクト中に認識の相違が起こったときも真摯に受けとめて、すぐに修正して仕様の再確認もしていただくなど、すごく丁寧に仕事を進めてくださったので非常に助かりました。認識の相違があっても少しのコミュニケーションですぐに正しい方向に軌道修正していただけるので信頼でき、進行もスムーズにできました。

弊社としてもまだまだ知見や経験がない領域が多くあります。今後の期待としては、イー・エージェンシーの強みであるパイプラインの開発が必要になってきますので、その際にはまたぜひご尽力いただければと思っております。

馬渕様:Google製品を用いたデータ基盤の構築や連携には今後も特に注力していきますので、引き続きイー・エージェンシーの知見をお借りしたいです。また、今回のプロジェクトを通してエイチームブライズの事業体や事業展開をある程度ご理解いただいたかと思いますので、その上で弊社の未来とエイチームグループの発展にぜひお力添えをいただけますと幸いです。

今回は貴重なご意見をいただき、誠にありがとうございました。今後もDX・データ活用の推進パートナーとして伴走させていただき、課題の解決に向けてご期待に沿えるように努めてまいります。引き続きどうぞよろしくお願いいたします。

今回はエイチームブライズ様が取り組まれた「アウトバウンドDX」の目的や施策内容、成果についてご紹介しました。インタビューでは、同社が「アウトバウンドDX」をはじめとするDX推進プロジェクト「ブライズDX」で目指す将来像などについてもお話を伺いました。

イー・エージェンシーは「Google マーケティング プラットフォーム(GMP)」および「Google Cloud(GCP / Google Cloud Platform)」の認定パートナー

これまで培ってきた豊富な知見をもとに、Google アナリティクス の導入・運用をはじめ、Google Cloud(GCP/Google Cloud Platform)によるデータ統合、広告連携、アトリビューション分析、機械学習によるパイプライン構築、広告やメールによる顧客へのアプローチ施策の効果改善など、お客様のデータ活用を幅広く支援しております。最新のデータ活用事例は、下記もぜひご覧ください。

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この記事を書いた人
村松

マーケティングプランナー