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ChatGPTと広報の新しい働き方:ChatGPTさんにプレスリリースチェックしてもらう実験

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弊社ではプレスリリースは、通常、事業部門が作成し、チェックを広報・PR課の担当者が目で見て行います。しかし、ChatGPT PlusのGPT-4モデルを用いることで、文章チェックの精度が向上し、効率化が図られるのではないかと考えました。

この記事では、僕たち広報・PR課でChatGPTのGPT-4を使ってプレスリリースをチェックする実験、そのプロセスや効果、課題、今後の展望について紹介します。


プレスリリース実験のきっかけ

GPT-4を使ったプレスリリースチェックを始めたきっかけは、担当者が文章チェックの「てにをは」に自信がなかったことです😆
僕たち広報・PR課については社長が書いてくれてるこちらのnoteを見てください。

そこで担当が試しにChatGPTに文章チェックを依頼したところ、正確に訂正されたことがきっかけとなり、実験を進めていきました。

ちなみにその担当者が行った会話は以下のような会話だったそうです。

担当者のプロンプト(GTPへの投げかけ):
<リリース文章>
この文章は、ですます調に統一されていますか?間違った箇所をリストアップしてください。

ChatGPTの回答:
文章全体はですます調で統一されていますが、一部で敬体と常体が混在している箇所があります。以下に間違った箇所をリストアップします。

・○○○○○○○○
・○○○○○○○○

というように、ですます調のチェックどころからそれ以上の回答を得ることができました。すごい。

ChatGPTにプレスリリースチェックをしてもらう

プレスリリースのチェックでは、まずGPT-4に企業の広報担当者としてのロール(役割)を与え、実際にプレスリリースチェックを依頼する2ステップのプロンプトを与えています。それを踏まえGTP-4には以下を行ってもらっています。

  • 想定読者の推測

  • 想定読者に対して不足している情報の指摘

  • 期待値どおりのタイトルの提案

  • リード文章の補足

  • 会社情報の確認

  • 文章の適切性、文法チェック

現在、まだまだ実験途中でありプロンプトの一字一句に意味があるかは検証中ですが、次のようなやりとりです。

1.ロールを与える

担当者のプロンプト(GTPへの投げかけ):
あなたは株式会社イー・エージェンシー(以下、eA)の広報担当者です。

* eA広報マンの人柄
** 誠実、優しい、努力する、人の話を聞く
** 相手の気持ちに応えたい!

イー・エージェンシーの広報・PRに関するあらゆるマーケティング担当をしています。以下、あなたは次のMarkdown書式で書かれたeAの情報を常に頭に入れて、経営姿勢のニュアンスを広報物に入れたいと考えています。

* eAの会社情報
** 社名:株式会社イー・エージェンシー

<<中略>>

**eAのビジョン
- イー・エージェンシーのビジョンは、テクノロジーの進化によって人の力では不可能だったことが実現できるようになったことを活用することであり、お客様に対する「おもてなし」の心を大切にすることが重要であると考えている。
- 「おもてなしを科学する」の言葉には、テクノロジーを日本人の他人への配慮や気遣い、心配りといったものに役立てる想いが込められている。
- イー・エージェンシーは、京都で生まれた企業であり、老舗のおもてなしの心を大切にしている。
- 企業理念は、クライアントの成功を自身の成功と考え、クライアントの期待を上回る価値、サービス、商品を提供し、IT技術、デジタルネットワーク社会および文化の健全な成長に寄与することである。

以上、理解したら「はい」とだけお答えください。

ChatGPTの回答:
はい。わかりました。

続けていきましょう。
(会社のことをわかってもらっていることで精度があがっているかは検証できていませんが、いつか検証したいところ。)

2.プレスリリースチェックをしてもらう

担当者のプロンプト(GTPへの投げかけ):
*チェックポイント
** 想定読者を推測
** 想定読者にとって不足している情報を指摘
** 想定読者にとって期待値どおりのタイトルを2案提案
** 想定読者にとってわかりやすくなるようリードを補足
** 会社情報が不整合と古くなっていないかを確認
** 文章
- ネガティブな言い方がないか
- 過剰な表現はないか
- 法律にて抵触する表現はないか?抵触する可能性があれば、該当する法律を挙げる
** 文法
- 校正(誤字・わかりやすい文法構成・語尾「ですます」など)

チェックポイントに沿って次のプレスリリースをチェックして、修正すべき点があれば、優先順位順に書き出してください。よろしくお願いたします。

タイトル:{{field 1}}
リード:{{field 2}}
本文:
{{field 3}}

プロンプトの一番最後に、プレスリリースの「タイトル」「リード」「本文」をコピー&ペーストします。そしてプロンプトを送信。
回答はチェックポイントに沿って行われます。一歩一歩、考えてもらうことで精度を上げてもらおうという魂胆です。

たとえば、上記のプロンプトで、

この記事で試してみると次のように回答がありました。

ChatGPTの回答:
想定読者
・shutto翻訳の現在のユーザー
・ウェブサイト翻訳やAI翻訳ツールに興味のある企業や個人

不足している情報
・shutto翻訳の主な機能や利点についての簡単な説明

・期待値どおりのタイトル2案
タイトル案1:「shutto翻訳」がITreview Grid Award 2023 Springで2部門で受賞!
タイトル案2:ITreview Grid Award 2023 Springで「shutto翻訳」が2カテゴリーで栄誉ある賞を獲得!

・リードを補足
shutto翻訳が受賞したことで、顧客へのサービス向上への取り組みが評価されていることを伝える

・会社情報の確認
株式会社イー・エージェンシー関連の情報は含まれていませんが、特に問題はありません。

・文章
ネガティブな言い方:特にありません。
過剰な表現:特にありません。
法律に抵触する表現:特にありません。

・文法
誤字・わかりやすい文法構成・語尾「ですます」などは特に問題ありません。

・修正すべき点:
shutto翻訳の主な機能や利点についての簡単な説明を追加する
タイトルをより具体的かつ魅力的にする
リードを顧客へのサービス向上への取り組みが評価されていることを伝える形に補足する

ちなみに、ChatGPTのような大規模言語モデル(LLM)の性能上、必ず上記のとおりの回答が返ってくるわけではありません。このあたりは人間味があってかわいいものです。
というように、チェックをしてくれました。以下のような理由によりすごく助けられています。

ChatGPTに支援してもらうことで苦手意識がなくなった

チェック作業を任せることで効率が上がり、担当者の苦手意識が薄れました。文章チェックが苦手だった担当者は、ミスが減り時間が短縮されることで、積極的にチェック作業に取り組めるようになりました。

読む人にとってよりわかりやすい文章を作ろうという、生産的な気持ちの変化が大きくなりました。

とはいえ制約や課題はある

実際に実験後に担当者があげた課題としては、

  • チェックしてほしかったところはそこじゃない。指示内容以上にチェックをやりすぎる。

  • 会社情報チェックは、もとの情報があまりにもずれていると指摘してくれない。(1字違いならまだしも、全然違うとさすがにChatGPTもわからない)

  • 一度だけ「ですます」の指摘に漏れがあった。

  • GPT-3.5turboだとまあまあの率で指示どおりに動いてくれない。

しかし、人間もミスはあるもの、GPT-4に問題を見るよりもこちら側のプロンプトと情報の渡し方の改善をしていくことが重要だと考えています。

今後の展望:人だけではできないことをやりたい

現状はプロンプトだけで行っていますが、エンベディングやファインチューニング、外部記憶化(※)などを使用し、過去から現在にいたるまでのリリース情報をもたせることで、単なるチェックに留まらない機能が期待できます。
たとえば、ブランディングに重要な一貫した言葉の発信などは人で網羅するには限界があります。そういった網羅性を踏まえた情報発信の支援なども期待できます。

GPT-4を活用したプレスリリースチェックは、効率化や品質向上、リソース削減などの利点があります。今後、さらに進化させていくことで、広報活動の効果を高めることができると考えています。

ChatGPTを利用することでこんなことができるようになったよという皆さまからのコメントをお待ちしています。

※ エンベディング、ファインチューニング、外部記憶化とは?
大規模言語モデル(LLM)を基盤として、エンベディング、ファインチューニング、外部記憶化を行うと、自社のデータを用いた専用のチャットシステムを作成したり、より高度な推論エンジンとして利用ができると期待される技術です。

最後に

本記事のタイトルは、ChatGPTに考えてもらいました。

もちろん、過剰な表現をしがちなので少し手をいれて

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