最新グロースハック術をしゃべり尽くす~アプリ編~ :アドテック東京2016

2017年1月30日 | attrip

株式会社VASILY 金山 裕樹様に参加していただき、最新グロースハック術をしゃべり尽くす~アプリ編~というお題でトークセッションをしていただきました。聞き手は、弊社取締役野口です。

翌日にアドテック東京公式セッションに参加する予定の2人に前夜祭的なイベントとして公開トークセッションの場を作りました。公式セッションと同じようにファシリテータとして弊社野口が聞き手となり話していただきました。

株式会社VASILYについて

ファッションコーディネートサイト「iQON (アイコン)」を運営しています。毎月200万人以上がアクセスするファッションアプリケーションを通じてインターネット上のオンラインファッションメディアNo.1を目指すべく、新しいユーザー体験を日々追求しています。

 

登壇者について

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株式会社VASILY
CEO 金山 裕樹 氏

VASILYの運営するファッションアプリ「iQON」は立ち上げから100万人のユーザー獲得までを広告費をかけず、グロースハックにより実現。iQONは2012年にApple社のベストアプリ、2014年から3年連続でGoogleのベストアプリを受賞。主な著書、翻訳書に「いちばんやさしいグロースハックの教本」「Hooked ハマるしかけ 使われつづけるサービスを生み出す[心理学]×[デザイン]の新ルール」など。

 

iQONについて

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アドテック東京公式セッション前日

翌日にアドテック東京公式セッションに参加する予定ということで前日の公開トークセッションになりました。公式セッションと同じようにファシリテータとして弊社野口が聞き手となり話していただきました。

好きな言葉「より少ないことは より豊かなこと」

金山氏:好きな言葉「より少ないことは より豊かなこと」有名なデザイナーの言葉です。

数字を上げようとすると機能を追加したりすることが多いと思うのですが、機能をできるだけ削ってより良いものを作るというのがプロダクトやサービスにおいて大切だと思っています。

少しの機能をしっかり見直すことでより良いものを作っていきたいです。

KANAYAMA語録

弊社野口が、刺激を受けたKANAYAMA語録についてお話を聞きました。

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君が仮に神だとしても、
数字をもってきて説明しなさい。

金山氏:企画だったり施策だったりをなんとなくやってしまいがちです、それは僕自身もあります。ですが、全ての意思決定は数字を元に行っていくことが大切です。定量化できないものもできるかぎり数字にして意思決定していくようにしています。

これは、組織の文化に根付かせるために社内でもよく言っていて、必ず施策で動かしたい数字(例えば投稿数や閲覧数など)をきちんと明確にして、良かったのか悪かったのかを判断するという会社を象徴するような言葉です。

 

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たとえエンジニアではなくてもSQLを叩けるようになりましょう

金山氏:先ほどのように、基本的に数字を元に意思決定をしています。例えばデータベースから引き出さないといけない数字です。いちいちエンジニアにSQLでこの数字を出せない?という人は、認めません。

SQLは、難しくないです。弊社では、デザイナーも含めSQLを叩いて取り出すことができる環境を整えてあります。SQLをひらで打つ人はあんまりいないです。使ったSQLのチートシートでコピペで出来るようなものがあるので、基本的な構造がわかっていれば数字や変数を入れるだけなので難しくないです。

誰でもSQLを使えるようになることで開発が速くなります。エンジニアは開発に集中出来て、ディレクターやプロデューサーは数字を元に実装までの計画を作ることができます。

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限界を超えようとした
結果の失敗ならOK!

金山氏:ぼくが許しているのは失敗です。ミスは、許しません。グロースハックというのは、暗中模索のなかでなにかをやって成功を探していくようなプロセスのなので必ず失敗はつきものです。

ミスと失敗を明確に分けていて、ミスというのは集中していなかったり、不注意から産まれるものなので、その人自身が防ぐことができると思います。なので、ミスしたら怒って机を叩いてしまう時もあります(笑)。でも、失敗の時に机を叩きません。失敗というのは、明確な仮説な元に挑戦をして、仮説どおりにならなかったものと考えています。失敗して怒って机を叩いたら失敗できなくなるじゃないですか?失敗を許容する環境が大切です。ちなみに1番失敗しているのは、私です。

 

そもそもグロースハックってなんだろう?

(念のため)言葉の定義の確認をします。 

グロースハック

┃┃

グロース(成長)

ハック(うまくやる)すること

 

グロースハックとは

  • データに基づいた改善・最適化の手法を活用し成長を科学すること
  • サービス・プロダクト開発・運用の中に、成長する仕組みを組み込むこと

 

グロースハック(広義)の構成要素

A/Bテストだけに注目されがちですが、それ以外にも沢山あります。グロースハックの構成要素を心技体3つに別けてみました。

また、大きく2つに分けるとするとA/Bテストに限らない色々な技と実際に必要になる文化や仕組みがあると考えています。

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 今回のトークセッションでは、グロースハックを広義に捉え「技・テクニック論」に留まらず「文化。仕組み」までを対象としてお話したいと思います。

グロースハックメソッドの中でと得意技はどれですか?

野口:金山さんが得意なエリアは、どこですか?

金山氏:成長のための諸活動だとおもいます。

ここ数年グロースハックは、バズワードになっています。ですが、グロースハックとは、それさえしておけばなんとかなる、魔法の杖(打ち出の小槌)みたいなものではないと思います。なんでもそうだと思うのですが、例えばサッカーでも50m走りだけでやってもだめですよね。腹筋もやるべきだし、ジグザグに走る練習も必要です。

グロースハックは、どれも必要でどれもやらないといけないものだと思っています。

 

本日のプログラム

テーマ1:
グロースハックまつわる大投票会<前夜祭バージョン> 
~今、日本のマーケターに必要なグロースハック視点を探る~

テーマ2:
教えて!グロースハックのここだけの

テーマ3:
2017年、注目しているグロース関連トピックは?
また、ご自身の企みは?

 

グロースハックまつわる大投票会<前夜祭バージョン> 

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グロースハックにまつわる大投票会

日本のマーケターに必要なグロースハックの視点を感じ取っていただきたいと考えました。

トークセッションに参加していただいた方にも参加していただきました。

 

わたしは今、グロースハックしている

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会場のほぼ全員がBを選択しました。

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Aを選択した金山様の意見

金山氏:グロースハックは、広義の意味ではマーケティングの意味もあります。ですが、ベースとして製品の成長の仕組みだと思っています。製品の改良・改善に使うことができ、初期の製品で考えられるような仮説とは違うような使い方がある可能性があります。

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Aを選択した野口の意見

野口:やりようによって組織でいかに行うかで大きく変わると思います。

 

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Aを選んだ金山様の意見

金山氏:敏腕コピーライターは、打率がよい人です。うさぎとカメのような関係です。データサイエンティストは、最終的にやり続けることで良い結果を出す人だと思います。

Bを選んだ野口の意見

野口:A/Bテストの場合、繰り返すやる強さもあるのですがテストパターンの振れ幅がないと結果がでないというのも見ているので敏腕コピーライターを選びました。

Aを選んだ金山さんが更に意見

金山氏:確かにA/Bテストにおいてテストパターンをたくさん出すというのは大事です。そこさえも仕組みにしました。クリエイティブの変数軸をつくり変数ごとに変数を考えて掛け算を作りました。

敏腕コピーライターがやっていることは、全く新しいことではないです。存在しているナレッジとナレッジの新しい結合を出す人達です。見たことないわーというのは、ないです。例えば、敏腕コピーラーターはカツカレーとかを一発で作ったり出来ます。データサイエンティストの考え方は、美味しいものは炭水化物と炭水化物の組み合わせだとわかれば組み合わせをしまくってカツカレーを作ることが可能です。

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Aを選んだ金山様の意見

金山氏:技は、短時間で教えることはできますが、心を教えることはすごい時間がかかります。なのでAのグロースハックマインドをまず教えます。失敗は、誰でもいやです。先ほどもいいましたが失敗してもいいんだぜ!というのを伝えます。

上手に失敗しろよということですね。

もう1つは、最近グリッドといわれている考え方があります。つまり定義です。言い訳にしやすいです。ガイドラインがないとか予算がないとか風邪をひいたとか言い訳せずにやりきるのがプロとしてやりきる能力が必要だと考えています。

これを伝えるのは、難しいですよね。

最近、昭和な考え方だと辞めてしまいますね。

 

教えて!グロースハックのここだけの

ここだけの話、めちゃくちゃ成果を上げたグロースハック事例を教えて下さい(できれば具体的に。数値も。)

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施策の説明

金山氏:アプリダウンロード後、元々は会員登録のフローを踏んでからサービスを始める仕組みでした。機能の簡素化をしました。この結果、良くなったのは翌日の継続率でした。

しかし、1年間に使う回数を計測してみると実は元々のように最初に会員登録をさせたほうが良いことがわかりました。

もとに戻したのには理由があります。アプリを取り巻く需要環境が変わってきたということです。最近は、アプリはつまらないとすぐ消されてしまいます。また、機種変更をしたタイミングで消されてしまいます。昔よりアプリが消されやすくなっています。

そこで、アプリを使う人のユーザ環境が変わってもアプリを起動してもらう仕組みを持たないといけないです。

その中で、最強なのはメールアドレスです。

メアド凄いっす!メールは、全然減らないです。

メール配信数は、どんどん積み上がっていきます。なのでぼくらは今メールを再注力しています。送っているメールの内容も機械学習でパーソナライズした内容を送っていることのセットで相乗効果もあると思います。なので、メールアドレスは、とったほうがいいです。メールアドレスをとっていなかった期間が本当にもったいなかったです。

野口:どれくらいの期間メールアドレスをとっていなかったのですか?

金山氏:1年半とっていなかった期間がありました。泣きそうです。

 

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金山氏:当たり前の話なのですが、見る人によってパーソナライズして出すという話です。いままでは、30代の方に10代の方が好むような服を見せてしまうようなこともあり、ミスマッチがありましたが、年齢によって出すものを変えることにより継続率がアップしました。

同じような仕組みでグノシーさんも年齢のアルゴリズムで広告を出し分ける仕組みもあるみたいです。

ちなみにどれくらいの年齢層で別けていますか?

5種類くらいで分けています。ただ、最近はユーザの年齢だけでなく、個人の好みによるパーソナライズに力を入れています。

 

ここだけの話、いまイチオシのグロース手法は?

金山氏:アプリの右側にある1とかつくあれです。コミュニケーションバッジといいます。ついているか付いていないかで20%くらい違います。

以前付け忘れてしまったことがあり、デイリーアクティブユーザが大きく下がりました。色々調べた結果コミュニケーションバッジの赤丸でした。

僕らが思っている以上にユーザは、消したいんです。赤丸を好きあらば付けるようにしています。もしコミュニケーションバッジをやっていなかったらもったいないです。

 

メール配信についてもう少し詳しく教えて下さい!

金山氏:先程の話でも出てきましたが、メールですね。メールマーケティングです。激熱です。

どんな指標を見ていますか?

開封率を見ていて、メールを配信してアプリを開いてくれる人は2%〜3%で、それが落ちないです。

どれくらいの頻度で送っていますか?

週に2回送っています。

 

2017年、注目しているグロース関連トピックは?

金山氏:検索エンジンに回帰です。

いろんな便利なメディアアプリが出てきていますが、すごい利用頻度に長けています。それよりマイクロモーメント、瞬間的な普及がでたときに何かしらの検索エンジンを使います。ルールがあります。何も知らない人はGoogle、女性ならばinstagram、動画ならYouTubeなにかしらの検索エンジンを使います。その中で純粋に想起するものがあります。例えば、安く買うならメルカリ、ポイントだったらヤフーショッピング、なにかしら人の純粋想起と紐づくような検索DBを持っているサービスです。

お客さんは、でていきます。色んなジャンルで、検索で打ち込むキーワードで見えてくるんものがあるんじゃないかな?と感じています。

みんな検索すごいするなーと感じています。検索キーワードのその先になんの純粋想起をがあるのかというのがハッキリしてきていて勝者がはっきりしてきています。

一周回って検索エンジンに回帰している理由です。

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セッション終了後も沢山の人が直接金山様のところに集まり直接話しをしている方が多くいらっしゃったのが印象的でした。ご登壇ありがとうございました。

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ライター

大学卒業後、DJ KRUSH氏との仕事を契機に、Web業界に進む。 現在は"おもてなしを科学する"株式会社イー・エージェンシーに勤務。マーケティングチーム広報。 GAIQ(Google Analytics Individual Qualification)保有者

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