Web担当者にきいた企業Webサイトの実態 ~ インターネット白書2006年版の調査データより

2006年10月25日 | 広報・PR・イベント運営担当

2006年10月25日

Web担当者にきいた企業Webサイトの実態 ~ インターネット白書2006年版の調査データより

吉村正春
ドラゴンフィールド株式会社
http://dragon.jp

・Web担当者にきいた企業Webサイトの実態
 http://web-tan.forum.impressrd.jp/e/2006/10/02/254 (Web担当者Forum)

 上記のページで企業サイトのWebマスター向けに実施されたアンケートの結果が一部公開されている。興味深いデータをいくつかご紹介したい。

Webサイトの予算の有無

 Webサイトの予算(運用・管理費)を明確にとっている企業は全体の45.3%と半数に満たないが、この傾向はここ数年変わっていない。半数以上の企業は情報システム費など別の項目と混同されているからではないかと上記のページでは分析されているが、たしかに新商品別にサイトを立ち上げるとすれば、それはプロモーション費として計上されるだろうし、その線引きは難しいところではある。またWebではやれることの選択肢が多いため、予算感を全社的に共有することが難しいというのも、理由のひとつになるだろう。

ブログ/RSS/SNSの導入

・ブログの導入

 事業所規模別にブログなどのWeb2.0的手法の導入比率が出されている。従業員99人以下の事業体と、5,000人以上の事業体では、企業ブログの導入が20%を超えている反面、500~999人の事業体では6.5%となった。

 中小企業と大企業のブログ導入実績が高いと言うデータなのだが、中小企業と大企業ではブログの役割は明確に異なっている。中小企業におけるブログの活用は、新規顧客の獲得である。いわばファンを増やすことが第一義となる。一方、大企業では、ブログとはすなわち広報手段で、あくまでもディスクロージャの一環なのである。企業ブログをやりたいと考えている企業は自身の企業規模も踏まえる必要があるだろう。

・RSSの導入

 5,000人以上の事業体のサイトでは、RSSの採用は40%。ここでもディスクロージャの一環として、RSSを使った情報発信が浸透していることが分かる。4,999人以下の事業体サイトでは、平均8.4%と大規模事業体を利用率を大きく下回っている。ただし、ブログをやっていれば当然RSSもワンセットで付いてくるはずなのだが、ブログの利用率とRSSの利用率は大きく乖離している。もしかしたら、実はこの調査に協力したWeb担当者自身も技術的な側面がよく分かっていないのかもしれない、という危惧は感じる。

・SNSの導入

 上記2つと異なり、事業規模が小さくなるにしたがい、利用率が上がる結果となっている。500人以上の事業体では利用率は0%。一番多いのが、1~49人の事業体で、0.9%。誤差の範囲内かと思えるくらいの利用率ではあるが、大規模事業体にとってSNSの管理運営は相当リスキーなこともあり、今回のその数字もその心情を反映したものではないかと類推する。

効果が高いと思うアクセス誘導対策

 1位は、断トツで「SEO」、2位は「紙メディア(雑誌広告やチラシ)にURLを掲載しての誘導」が入り、3位は「SEM」、4位5位は「他サイトへの広告バナー出稿」「会員向けメールマガジンの配信」と続く。

 SEOは、昨年よりも4.6 pts(34.9%→39.5%)上昇し、SEOがますます一般的なWeb戦略として認識されていることを伺わせる。2位の紙メディアへのURL露出は9.2pts(25.8%→16.6%)と2位とはいえ、大幅にポイントを下げた。6位の「携帯電話を使った誘導(空メールやQRコード)」が4.2 pts(0.7%→4.9%)上昇していることからも、単純にURLを掲載しているだけではWebサイトへの誘導は効果が期待できないのではないかと疑問視していることが分かる。

 今年の調査では、QRコードという言葉が出たが、来年、同様の調査があった場合、「検索キーワードを露出してサイトに誘導する」という答えが増加するだろう。

 駆け足ではあるが、上記ページで公開されているデータを分析を交え紹介してみた。なお、「インターネット白書2006年版」には、上記のデータが完全版として掲載されているので、Webでの次の一手を考える上でぜひ参考にしていただきたい。

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