次世代ECサイトに装備されていきそうな最新?サービス

2012年7月17日 | 木村 祥一郎

木村 祥一郎
取締役副社長

最近のテクノロジーの進化はひじょーに早く、次から次へと新しいものが登場してきています。ここでは、次世代Eコマースサイトに取り入れられていきそうないくつかのサービスや、手法について紹介してみたいと思います。(中には、そんなものは「最新」でもなんでもなく、昔っからあるよ!というものも含まれてるかもしれませんが….)

なお、こちらで紹介させて頂いている各サービスですが、弊社で取扱いやサポートを行っているわけではないので、詳細についてお問い合わせ頂いても、お答えすることはできないことの方がお多いと思いますので御了承下さい。

▼(1)カート放棄・離脱者をフォロー

SeeWhy increases website conversion rates with shopping cart abandonment remarketing tools

ショッピングカートに商品は入れたものの、何らかの理由で購入をストップして、そのまま放置してしまったという経験は誰にでもあるんじゃないでしょうか?

SeeWhyによると、Eコマースでは、毎年$300,000,000,000 ものカート放棄によるロスが発生している

ということです。(ゼロが多すぎていくらかよくわからない!)

SeeWhyは、そういったカート離脱者をフォローするためのサービスを提供しています。
専用のタグをカート内に導入することで、カート離脱者のフォローが可能となります。
カート離脱者にたいして、自動のパーソナライズされたEメールや、各種ソーシャルメディアアカウントへのプッシュ通知みたいなことが出来るようです。

単純に、カートに商品が残ってますよ、というような通知ではなく、購入フローのどの段階で離脱したのかといった情報もあわせて、たとえば、「カートに不備はなかったでしょうか?」というようなカスタマーサポート的なメールを送ったりみたいなことが出来るみたいです。

▼(2)ユーザー行動に基づくリアルタイムオファー

SteelHouse | Behavioral Commerce: Use LIVE data to make marketing decisions in real time.

SteelHouse

2011年マイクロソフト社内で行われた「Launch: Silicon Valley” 2011 showcase event」というイベントで、次世代インターネットカテゴリでの最優秀賞を獲得したり、ad:techのイノベーションアワードの賞を獲ったりで注目を集めつつあるサービスです。

簡単に言ってしまえば、ユーザー行動に基づいたリアルタイムオファー&クーポン等ができるサービスということになるのでしょう。

Eコマースサイトに来訪している人のプロフィールデータや、あるいはサイト内での行動などに応じて、画面上にリアルタイムでオファーを提供できます。
ユーザーごとに個別のオファーの提供が可能なので、あるユーザーセグメントにのみシークレットセールスの案内を表示したり、ある商品を購入しようとしてる、検討しているユーザーののみ、何か特典をつけたりと、色々なことが出来るようです。

▼(3)カタログギフトの電子版 電子ギフト対応のソリューション

Giftango – Gifting, Redefined

CashStar – eGift Card Solutions

Eコマースに、電子ギフト機能を搭載することができるサービスです。
所謂カタログギフトの電子版みたいなものでしょうか。

たとえば、ナマモノなどをギフトとして送るのは、受け取る側の都合などもあり、贈る方としても神経を使いますね。
これを電子ギフトにすれば、贈る側も受け取る側もハッピーになれます。
贈る側は、そのコマースサイトで電子ギフトを購入します。受け取り側には、Eメールでその電子ギフトが届き、自分の好きな時間にその電子ギフトを使って購入すれば良いわけです。

▼(4)購入促進&リード獲得目的のクーポン

上記のサービスの「電子ギフト」というのは、いわば一種のクーポンと同じようなものです。「クーポン」というところでいくと、海外のEコマースサイトは、購入促進にクーポンを利用するところが日本に較べて圧倒的に多いように思えます。(「クーポン」文化ということなんでしょうか)

サイトに来訪すると、メールアドレス登録してくれたら何%OFFのクーポンがもらえるよ、みたいな、ポップアップ画面が立ち上がったり、メールアドレス登録してくれたら、クーポン送るよ、みたいなレジストフォームを配置してたり。
最悪、とにかくメールアドレスだけでも登録してもらって、こちらからフォローできるようにしておきたいという意図があるわけですね。

例えば、こんな感じです。

Perfume, Cologne & Discount Fragrances

 

Books Online – New, Rare & Used Books – Movies & Music – Alibris Marketplace

こういうポップアップものは出来れば、Cookie等で判別して初回訪問者にのみ表示するようにして欲しいですね。一度訪問してて、興味なくてこのボックスを消した人というのは、再度、同じことをやったら、それは逆効果なんじゃないかと思います。

日本でも、パーミッション・マーケティングがブームになった時に、とりあえずメール登録、メールマガジン登録みたいに促すサイトがけっこうありました。たいてい、「お得な最新情報が届く」とかっていう、本当にメリットなのかどうかわからないオファーで登録させようという感じで、初回購入何割引のクーポンみたいな、具体的なオファーをしているEコマースサイトはあまり見かけませんでした。しかしながら、今後はこういうものも増えてくるかもしれないなと思ってます。

それは… facebookがEコマースサイト向けのクーポン機能を提供するかもしれないからです。

▼facebookのEコマースサイト向けのクーポン

facebookも、Eコマースサイト向けのクーポンをやろうとしてるようです。

Facebook、eコマース向け”Offers”クーポンをテスト中。リアル店舗だけではない

Ecommerce Offersは、実店舗のOffersでレジ係の教育が必要なことを考えると、企業にとってさらに簡単だ。既にeコマースサイトの多くは、チェックアウト時に割引コードを入力する場所を用意している。もしユーザーがクーポンを共有することを企業が望めば、Facebookは割引コードを無限に発行することができる。

などと書かれてますが、どうでしょうか。日本のEコマースサイトに限ると、割引コード入力ができるところがどれだけあるのかなーという感じはしますが。
でも、こういう機能が提供されると、クーポンでのファン育成や、初回購入客獲得やらというプロモーションが積極的に展開されるかもなと思ってます。

facebookがこの機能を正式リリースした際には、本体Eコマースサイト側での対応が必要となってくるケースが出てきそうですね。また、facebookファンページを、「ファン」に対して、特権を与える場として利用していくという、ロイヤルカスタマーのためのサポートツール的な位置づけに捉えるところも増えるのではないかと思います。

▼(5)多品種多数商品を扱うEコマースサイトには必須の商品検索システム

Amazon CloudSearch (検索サービス)| アマゾン ウェブ サービス (AWS 日本語)

AmazonCloudSearch

扱う商品が多数になるEコマースサイトでは、商品検索機能は、極めて重要な機能の1つです。すでに数多くのベンダーがEコマース商品検索を提供しています。

まだ日本語対応はされていないようですが、最近では、Amazonが「Amazon CloudSearch」という検索サービスをβリリースしました。驚くべきは、その価格です。価格は、さまざまなトランザクションの組み合わせで決まるので、一概にどうかとは言えないですが、一般的なクラウド型の検索サービスに較べると、その価格はかなり安いです。

価格例として、「検索ドメインに 100MB のデータがあり、以下をサポートする必要がああ」るという前提で、以下のような条件の場合、

1 日あたり 100,000 件のシンプルなキーワード検索
1 日あたり 50 件のバッチアップロード。各バッチに 1 KB のドキュメントを 1,000 件含む
1 か月あたり 4 件の IndexDocuments リクエスト

月額費用は86.94 USD/月です。

ちなみに、Googleが提供しているGoogle Commerce SearchというEコマースサイト向けの専用検索サービスは、最低料金は年間 25,000 USDです。この価格と較べても、Amazon CloudSearchは、かなり安価ですし、利用対象となるEコマースサイトも幅が広いのではないかと思います。

検索機能も、「ファセット検索、フリーテキスト検索、ブール型検索式、カスタマイズ可能な適切度ランク付け、任意のフィールド使用による結果のソートといった、開発者が検索エンジンに期待する検索機能のほとんど」が含まれているということです。
「ファセット検索」などは、スクラッチで実装しようと思うと、けっこう大変だと思いますが、このへんが標準装備されてるというのは心強いですね。

このサービスが本格的に日本語化対応され、たとえば日本語独自の表記のゆれやブレなどの問題もカバーできるようになってくると、Eコマースサイトの構築時に、Amazon CloudSearchとのデータ連携を考慮した構築というような事例も増えてくるのではないでしょうか。

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テクノロジーとかマーケティングとか文学や哲学が好きです。 個人のブログはこちら( papativa.jp )。

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