あなたのサイトは大丈夫?–ECサイト3つのチェックポイント

2009年10月1日 | 広報・PR・イベント運営担当

2009年10月01日

あなたのサイトは大丈夫?–ECサイト3つのチェックポイント

奥井 夏子
インフォメーションアーキテクト


夏のボーナスシーズンがやってきました。こんな景気ではありますが、ボーナス、エコポイント、定額給付金と、ECサイトでは様々な商戦が繰り広げられています。

ユーザーの購買意欲がかき立てられるこの時期にちなんで、今月はECサイトを検証しました。特に今回はECサイトの検索機能に焦点を当てます。被験者は男女混合5名、「Amazon.comとYahoo!ショッピングにて、食器洗い洗浄機を買う」というタスクを課しました。はたして被験者たちは満足のいく買い物ができるのでしょうか?


ストレス1:「商品が見つからない!!」

被験者D(20代男性)は、Yahoo!ショッピングにて「食洗機」と検索窓に打ち込みました。その結果が下記の図です。

ユーザーが検索結果を見た際の視線の様子。
赤い線は視線の動きを、丸は視線の滞留時間の長さを示す。
検索結果が見られていないことがわかる。
(クリックすると別ウィンドウで拡大)



視線は「並び替え/絞り込み」機能に集中しており、検索結果の商品はほぼ見られていません。検索結果をよく見てみると、探していた食器洗い乾燥機の本体と共に、「対応食器」「対応洗剤」「付属部品」などが混じって表示されています。これを見た被験者は、一瞬にして「このページは自分の求めていたものではない」と判断したのです。

この被験者が求めていたのは、食器洗い乾燥機本体がずらっと並んだ検索結果でした。その後この被験者は何とか本体だけに絞り込もうと試行錯誤を繰り返しますが、なかなか求める結果にはなりません。被験者はかなりのストレスを感じてしまいました。


ストレス2:「商品を絞り込めない!!」

商品が見つからないことにストレスを感じたのは被験者Cだけではありません。今回の被験者全員が同じ不満を持ったのです。

検索結果一覧ページにて、欲しい情報と不要な情報が混在している時、被験者たちは、上から順に探している情報だけを見ていくことはしません。ある程度、欲しい情報だけが一覧でまとまったページを要求するのです。そのため、ECサイトにおける絞り込み機能は、非常に重要なツールです。

どの被験者も、検索結果一覧上部の並び替え/絞り込み機能に気づき、これを使って本体だけに絞りこもうとしました。ただこの機能を何度使っても、被験者たちはなかなか求める一覧に絞り込むことができません。

複数の絞り込み機能があるが、ユーザーはそれに気づいていない
(クリックすると別ウィンドウで拡大)



実は被験者たちが使った絞り込みツールだけでは不十分であり、求める一覧を作り出すためには、ほかの絞り込ツールも使う必要があったのです。ただ、この被験者C(30代男性)同様、ほとんどの被験者はほかの絞り込みツールに気づきませんでした。


なぜ絞り込み機能に気づかないのか?

例えば、Yahoo!ショッピング一覧ページ内には、さまざま絞り込みのための機能やナビゲーションがあります。ただ、図3を見ると、それらの要素は画面内にバラバラと配置されていることがわかります。

一方、ユーザーは、絞り込み機能(結果一覧上部)を1つ見つけた時点で、その同じ絞り込み機能を使い続けます。「絞り込みはココだ」と思いこんでしまい、同じ画面上に同タイプのツールが実は複数存在する、とは想像しにくいのです。

ユーザーは同一画面上に同じ機能を持つツールが複数存在するとは思わない
(クリックすると別ウィンドウで拡大)



「売れる商品棚」と「売れない商品棚」

次は検索結果一覧画面を検証したいと思います。今回のテストにおいて、検索結果画面は2通りのパターンがありました。1つは「縦型表示」(商品が縦に長く並んでいるタイプ)、もう1つは「碁盤型表示」(商品が碁盤のマス目状に並んでいるタイプ)です。

下記は、同じ被験者(被験者A:20代女性)がYahoo!ショッピングとAmazon.comの検索結果画面をそれぞれ見た時の視線の動きです。視線の違いを見てみましょう。

商品の並べ方による視線の違い。碁盤型の方が視線を集めやすい
(クリックすると別ウィンドウで拡大)



縦型表示の場合、被験者は上部数件を見ただけで、他のページへと遷移をしてしまいました。一方、碁盤型表示の場合、被験者は縦型表示よりも多数の商品に視線を向けていました。

Yahoo!ショッピングでもAmazon.comでも、1ページ内に表示される商品件数はほぼ同じです。しかしながら、Amazon.comは、画面内の余分なスペースを省き、その分商品写真の大きさや、文字の読みやすさにこだわって、商品が配置されています。

どちらのページにおいても、結局ユーザーの欲しい商品はありませんでした。ただ、縦型表示では全く視界に入っていない商品が多数あった一方、碁盤型表示においては商品が一応一通り見られています。「チラ見しかされない商品棚」と「しっかり見られる商品棚」、商品が売れやすいのが後者であることは容易に想像がつきます。



ECサイトの検索機能–3つのチェックポイント

今回のテストにて、本体のほかに付属品がある商品を探すのは、かなりユーザーのストレスになっていることが分かりました。そのほか、iPod商品やドラム式洗濯機などでもテストしたところ、同様の傾向が出ています。今回のテストから見えてきたユーザーニーズを元に、以下3つのチェックポイントをご紹介します。



検索結果はユーザーニーズとマッチしていますか?

ユーザーのリクエストに対してどんな結果を返すかは、アルゴリズム設計の悩ましいところです。ただ「食器洗い乾燥機」と検索窓に打ったとき、食洗機本体を探している人の検索結果への期待=「検索結果には食洗機本体が並んでいるはずだ」という期待は、付属品を探している人の期待よりも、はるかに高いのではないでしょうか?またこれは、そのサイトの専門性(家電に強いのか、食器に強いのか)にもよるでしょう。重要なのは、ユーザーが一覧結果に何を期待しているのかを考えることです。



検索結果からの絞り込みはスムーズですか?

検索結果に欲しい情報と不要な情報が混在している時、次にユーザーが取るのは絞り込み行動です。サイトにはさまざまな絞り込み機能がありますが、ユーザーが機能を理解していない、またはその存在に気づかないこともあります。絞り込み機能は、ユーザーの目に付きやすい場所、デザイン、直感操作性に配慮が必要です。



どんな「商品棚」を置いていますか?

今回のテストでは碁盤型表示の方が、よく商品を見られていました。商品にもよるかと思いますが、画像が多くを語る商品であれば、碁盤型表示は有効だといえます。実店舗では商品の陳列方法によって売り上げが左右されます。検索結果の一覧は、実店舗における商品棚と同じであるという意識が大切です。

本コラムは、奥井がCNET Japanにて連載している「視線が明かすウェブ制作の常識・非常識」にて2009年6月11日に掲載された原稿です。

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