ログ解析 中級編 ~サイト内でのユーザーの動きを改善しよう

2007年1月30日 | 広報・PR・イベント運営担当

2007年01月30日

ログ解析 中級編 ~サイト内でのユーザーの動きを改善しよう

柴田
株式会社イー・エージェンシー

サイト運営にログ解析データを活用することは、ここ2~3年で当たり前になりました。とは言え、まだまだページビューや訪問者数だけを重視している人も多いかもしれませんね。
この2つの項目を定期的にチェックするのは大切なことですが、時にはもう少し踏み込んで、サイトの中の状況を見ていくことにしましょう。
最近のログ解析ツールは高性能で、たいていのツールはサイト内でユーザーがどう動いているのかを読み取ることができるようになっています。

逃げ去るユーザーを捕まえる

まずは、サイトの入り口としてユーザーの流入数が一番多いページ、そこからユーザーの動きをたどってみましょう。
例えば、ユーザーの大半がトップページを入り口としているサイトがあったとします。では、その次に、ユーザーはどのページへ移動しているのでしょう?
もし、サイトを退出しているユーザーが50%もいたら大変です。ユーザーをサイト内へ誘導することができず、トップページから入ってきたユーザーの半分をサイトの外へ逃がしてしまっているからです。
入ってきたページだけを見て、そのまま他のサイトへと去ってしまうユーザーの割合、これをログ解析では直帰率と呼びます。これまでの経験から、トップページの直帰率が25%程度ならまあよい状態だと言えるでしょう。ですので、50%もあるならば、トップページの構成を見直す必要があるのです。

可能であれば、直帰しているユーザーがどこからやってきたのかを確認しましょう。あるサイトからやってきたユーザーの直帰率が高ければ、その直前にいたサイトで自分のサイトがどのように紹介されているのかを調べます。「ワインの通販サイト」なのに、紹介文が「お酒のサイト」だけだったらどうでしょう。ユーザーによっては、サイトを訪れる前に「日本酒」のイメージを持ってしまい、そのギャップで出て行ってしまうのかもしれないからです。また逆に、ワインに興味を持っているユーザーの来訪機会を逃しているかもしれません。その場合は、そのリンクしてくれているサイトへ依頼して、サイトテーマに沿った紹介文に修正してもらいましょう。その紹介文に興味を引かれたユーザー、つまりサイトのターゲットとなりうるユーザーが来訪する可能性が高くなります。

検索エンジン経由のユーザーが多ければ、どんな検索語句でやってきたかも掘り下げます。検索して求めてきた情報が、トップページでどのような扱いになっているのか。下層ページへのリンクがあっても、ユーザーには見つけられなかったのかもしれません。
サイト運営者が思っている以上に、実際のユーザーは短気で、関心のあるところしか目に入りません。ユーザーが欲しい情報を、目立つようにトップページに配置し、また何ができるサイトなのかを、ユーザーにわかりやすく伝えてあげることが重要なのです。

迷っているユーザーを導いてあげる

サイト内でアクセス数の多いページを把握していますか?
アクセスが多いのは人気コンテンツの証拠。ではユーザーは、どこからそのページへやってきて、どこへ移動しているのでしょうか?
実はユーザーは、その人気ページを挟んで、関連ページを行ったり来たりしていただけというケースがあるのです。

例えば、ある自動車メーカーのサイトでは、「軽自動車」というカテゴリページが人気でした。「軽自動車」からは「A」「B」「C」などの車種ページへリンクしていました。ログを見てみると、確かに「軽自動車」のページビュー数は多いものの、実は車種ページへ移動したユーザーの大半が「軽自動車」に戻っていたことがわかりました。つまり、ユーザーは「軽自動車 → A → B → 軽自動車 → C → 軽自動車」という動きをしていたのです。これでは「軽自動車」のページビュー数が高いのも当然です。
車種ページ「A」「B」「C]では各車のカタログ請求ができるようになっています。これはサイト運営者がユーザーにして欲しいことです。つまり、「軽自動車」のカテゴリページへ戻ってしまうことは、サイトのゴールに沿わない動きと言えます。

ユーザーは、なぜこんな動きをしていたのでしょうか。ひょっとして、どの軽自動車にしようか比較をしていたのかもしれません。しかし、資料請求数がいずれも極端に低ければ、この仮説は成り立ちません。
このケースでは結局、ページの情報が少なく、この軽自動車にしようとユーザーに思わせる一押しが欠けていたために、関連車種のページへ移動してみたり、カテゴリページに戻っていたのではないかという推測に至りました。

推測が実際に当たっているかは、ユーザーインタビューやユーザーテストで確認することが最もよいとされています。それが間に合わない、予算がないという場合には、まずコンテンツ内容を見直し、車種「A」だけを修正してみましょう。その上で同じカテゴリの「B」「C」など、人気度が同じくらいの関連車種ページでのユーザーの動きと比較して判断するという手法もあります。

ゴールページへの道筋を読む

前章で例としてあげたサイトは、「ユーザーが関心を持った車種のカタログを、フォームを使って請求してもらう」ことを、サイト上のゴールとしていました。この場合、ゴールページは、送り先などを入力、確認した後の送信完了画面となります。「カタログ請求ありがとうございました」などの文章が表示されることが多いので、「サンキューページ」とも呼ばれています。

このサンキューページには、サイト内をどう動いたユーザーがやってくるのでしょう。つまり、どんなユーザーが資料請求してくれているのでしょうか。それを知るために、サンキューページの前にいたページ、さらに前にいたページとさかのぼってみましょう。
ログ解析ツールにもよっては、さかのぼれるのは3ページまでというように制限のある場合もあります。その時は、フォーム開始からサンキューページまで、フォーム開始ページからさかのぼれる限界のページまでというように、複数段階をチェックしてみます。
資料請求してくれた人の足跡をたどり、実際のページと照らし合わせてみることで、どのコンテンツが資料請求に役立っているのか手がかりをつかむことができます。

この手がかりを基に、ある一つの商品の流れだけを変更してみます。それを、その他の商品から資料請求してくるユーザー数や割合でと比較しましょう。修正した商品の資料請求が増えているようだったら、その流れを他の商品にも取り入れるようにします。

サイト運営は「Plan Do Check Action」の繰り返しです。ログ解析で得た貴重なユーザー行動の手がかりを、Cの段階で終わらせてしまうのはもったいない。ぜひ、計画的にA、改善アクションに結び付けていきましょう。

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