ログ解析 初級編2 ~ポイントを絞って分析しよう

2006年12月6日 | 広報・PR・イベント運営担当

2006年12月06日

ログ解析 初級編2 ~ポイントを絞って分析しよう

柴田
株式会社イー・エージェンシー

サイト改善の手がかりに

 サイトのアクセス状況を把握することは、体重を量るようなもの。健康な時は、体重とせいぜい体脂肪を量るぐらいで事足ります。
 しかし急な増減があれば、黄色信号が点滅しています。原因を探る必要があるのです。増える分には問題ないのでは?と思う方もいるかもしれませんが、せっかく増えた訪問者が一ページだけ見て帰っていく人ばかりだったらどうでしょうか?最初に訪問したページに探している内容がなくても、他のページでユーザーの望みを満たせるかもしれません。ユーザーの来訪目的を捉えて、サイト内の動線を考え直しましょう。コンバージョンに結びつく、新たな見込み顧客になる可能性があるかもしれません。

 訪問者は増えているのにコンバージョンが伸び悩んでいる。こんな問題を抱えたサイトがあるとします。病状を改善するために、徹底的に原因を究明していきましょう。
 まずは、どんな目的で訪問するユーザーが多いのかを調べます。検索エンジン経由なら来訪検索語句で見当をつけることができますし、外部サイトからのリンクでやってきた場合は、そこにどんな情報があるのかで、ユーザーの意図を推測できます。
 ユーザーがどこのページから入ってきたのかも確認します。トップページだけがサイトの入り口といわれる時代は終わりました。検索エンジンが日常的に使われるようになった昨今では、サイト内の全ページが入り口となる可能性があるのです。
 もし、主要なページの直帰率が高いようなら、ページの見直しを行います。実際にあったケースですが、別ウインドウで開くナビゲーションのないページをユーザーが訪れていたという例がありました。せっかくサイトに来てくれたのに、ユーザーが訪問したのは行き止まりのページだったのです。これでは目的を達成することはできませんね。
 この場合は、メインの入り口ページにナビゲーションを設け、ユーザーの来訪目的と思われるコンテンツへ誘導することで、病状回復となるわけです。

 日々のログ解析で問題が顕在化した場合、すぐに精密検査に取り組むことをおすすめします。原因がわかったら、どの時点で改善するか検討しましょう。すぐに直した方がいい場合もあれば、改修規模が大きくなる場合もあります。工数がかかる改修は、なかなか手をつけにくいもの。だからといって、細かい部分ばかり増改築を繰り返し、迷路のような入り組んだサイトにならないようにしましょう。
 サイトの全体像を俯瞰して将来像を思い描きながら、改修のロードマップを固めていく。これを徹底することで、サイトの健全な成長が見込めるのです。

ログ解析は「Plan Do Check Action」の Check

 病状の原因究明以外にも、ログ解析の目的はあります。
 サイトを設計し構築する、当初の設計意図がうまく機能しているかの確認です。「Plan Do Check Action」のCheckの部分です。

 サイトの設計意図と実際のユーザー動線がマッチしているかどうか。この分析には、主要動線の把握が必要です。
 トップページから入ってくるユーザーが多いサイトの場合、次にどのページへ移動しているのか、閲覧数の多いページの前後の動きはどうなっているのか、資料請求や買い物かごなどコンバージョンするページがあれば、その前にどこを動いていたかも見ていく必要があります。
 ログはユーザーの足跡と前述しましたが、文字通り足跡をたどってユーザーの意図を探っていきます。サイト内の同じようなページを何度も行き来していれば、ユーザーは何かを迷っている可能性があります。複数のページを比較したいのか?目的のページを見つけられないのか?実際のページを見ながら検討していきます。

 マーケティング活動において、Plan Do Check Actionは欠かせないフローです。ユーザーの残してくれた足跡から、サイトの新たな可能性を探っていきましょう。

LPOとA/Bテスト

 LPO(Landing Page Optimization、ランディングページの最適化)という言葉も一般的になってきました。ここでも、ログ解析が活躍します。
 メールマガジンやキーワード広告等によってユーザーが最初に入ってくるページから、いかにゴールへ誘導するかは、LPO施策時に検討されているはずです。それが実際に機能しているかを、客観的にログから判断していきましょう。

 より効果を出したい場合には、いくつかのパターンを作成し比較検討する手法が有効です。いわゆるA/Bテストです。
 Aパターンがいいのか、Bパターンがいいのか、主観だけでは判断しにくいものです。そこで、期間を決めてAとBを入れ替えて比較したり、似た内容のコンテンツ、行動フローのページでAとBを比較する必要が出てきます。その比較の手助けをするのがログ解析です。直帰率、ページ滞在時間、コンバージョン率など、あらかじめどの項目で判断するか決めておけば、素早く判断が下せます。

 amazon.co.jpでも10月頃、A/Bテストを行っていたようです。商品詳細ページにおいて、左カラムに関連リンクを設けたバージョン(以前のレイアウト)と、カラムを設けず幅いっぱいに展開し、間に関連リンクが挟まれているバージョンと、混在していた時期がありました。11月現在カラムのないバージョンばかりが表示されているようです。
 ログ以外の判断手段も取り入れているかもしれませんが、こちらの方がコンバージョンがよかったのでしょうか。
 これはあくまで一例です。サイトによって、チェックすべきポイントは変わってきますし、その目標とする数値項目も違うでしょう。

ログ解析で得た情報を共有しよう

 ログ解析を行う上で最も重要なことは、目的を見失わないことです。
 ツールの進化でいろいろな項目が出せるようになっているからこそ、数字を並べるだけで終わらないようにしましょう。数字が一人歩きしないように、それがどんな意味を持っているのかを関係者で共有することが、以前にもまして重要となっています。
 全体のアクセス状況の推移、マーケティング要素を意識してポイントを絞った分析、この二つを使い分けることは、効率的かつ効果的なサイト改善に不可欠です。

 サイト運営は、Plan Do Check Actionの繰り返しです。ログ解析もこのフローに組み込みつつ、今行っているのがどちらのタイプの解析なのか、後者であれば何をチェックするために、どの項目を指標として分析しているのか。それを常に明確にしておきましょう。

■イー・エージェンシーのログ解析ソリューションはこちら
 サービス>プロダクト>アクセスログ解析

PICK UP

広報・PR・イベント運営担当

ライター

おもてなしを科学するイー・エージェンシーでは、クロスデバイス分析によるユーザー単位の分析やオンラインオフラインを横断した分析など次世代の分析をサポート。また分析データを元にしたABテスト支援から、EC領域での購買、行動データを活用したレコメンドシステムなどを提供。 お問い合わせはこちらにどうぞ。

お問い合わせ

サービスに関するご相談は
こちらよりお気軽にお問い合わせください。

e-Agencyの様々な情報をSNSでお届けします!