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2005年03月03日

Ajaxの可能性を探る~ Okut、Gmail、Flickr、A9に共通する軽快感はなんだ?

宮永 邦彦
株式会社イーエージェンシー

妙にレスポンスが軽いGoogleβ版サービス

 Orkut、Gmail、Google Suggest、Google Maps。Googleからエッジの利いたβ版サービスが次々に登場し、インターネットのプロフェッショナルたちを刺激しています。これらのサービスを使って共通した違和感を感じた方が多いはず。妙にレスポンスが軽快なのです。

 これらのサービスは「Flash製」ではありません。また単に回線のスピードや、サーバーの性能がよいからではありません。実は従来のWebアプリケーションと開発手法が異なっているのです。

・Orkut : 現在のSNSブームの祖となったサービス
http://www.orkut.com/

・Gmail : Googleが提供するWebメールサービス
http://gmail.com/

・Google Suggest : 検索窓への入力を補完
http://www.google.com/webhp?complete=1&hl=en

・Google Maps : Googleによる地図アプリケーション
http://maps.google.com/


Ajax:Webアプリケーションの新しい開発手法

 従来と違う開発手法、その理屈は簡単です。

 従来のWebアプリケーションのように毎回毎回、画面遷移やリロードをしません。一度ページを表示すると、その後はバックグラウンドで逐次サーバーにアクセスし、ページの一部だけをリアルタイムに書き換えていくのです。

 技術に詳しい方ならピンと来るでしょう。そこではJavaScriptとDynamic HTMLが活躍しています。そして、サーバとのやりとりにはXML(XmlHttpRequest)が使われています。

 このアプリケーションの開発手法に最近名前が付けられました。それが「Ajax」(エイジャックス)です。
この名前が今、Webの技術に敏感な層をにわかに騒がせています。

・Ajax: A New Approach to Web Applications
http://www.adaptivepath.com/publications/essays/archives/000385.php

・(邦訳)Ajax: Web アプリケーション開発の新しいアプローチ
http://antipop.zapto.org/docs/translations/ajax.html


Ajaxの利点

 まずなんといっても、いちいちページ全体をリロードせず、必要なデータを必要なとき必要な分だけサーバーに要求するので、レスポンスがリアルタイムかつ軽快なことです。

 同時にサーバー側にとっても、従来のCGIプログラムのようにHTMLに整形せず、XMLで生データを渡すだけ。HTMLの整形や表示の制御はクライアント側(JavaScript)が行います。

 クライアントPCはどんどん安く・速くなり、(インターネットユーザーが増えて)サーバーの負担は重くなる傾向にあります。負荷の重点をサーバ側からクライアント側に移していくこと。それは安定したサービス提供のためにRIA(リッチ・インターフェイス・アプリケーション)が担っている理念そのものです。

 その観点から、AjaxはRIAのひとつの手法と解釈することもできるでしょう。


Ajaxの問題点

 JavaScriptを多用することから、ブラウザー依存性が気にかかるところです。また、クライアントマシンの負担が大きくなるため、その分クライアントPCには高い性能が求められます。対応環境をある程度絞って行くことが前提となるでしょう。

 また、対象をエモーショナルな表現に拡げようとすると、とたんにFlashと衝突することもひとつの限界を示しています。

 今はFlashの方がはるかに表現力が豊かで、開発環境が充実しており、しかもほぼ100%と言えるプラグイン普及率を持つ強敵すぎる競合です。

 例えばこれは一見Flashのようですが、実はAjaxです。習作としては意欲的ですが、ビジネスとしてはFlashの方が有力でしょう。


Ajaxの開拓地

 Ajaxにはこんな側面がありました。

・ブラウザーのみで実現できるRIAである
・クライアント環境を選ぶ
・エモーショナルな表現に難がある

 そこから推測するとAjaxが活躍する場は当面、Webアプリケーションのインターフェイス、またはGoogle Suggest的な「スパイス」となりそうな気配です。

 Webアプリケーションの中でも操作が複雑でステップが多く、繰り返し使われ、ユーザーが慣れる程に作業スピードも上がっていくタイプのもの、これがAjaxとの相性がよさそうです。

 Gmailが好例ですね。メーラーはユーザーによって「使い倒される」代表的なアプリケーションです。

 その観点で言えば、CMSやグループウェア、その他のイントラネットにおける業務用Webアプリケーションあたりに広い開拓地がありそうです。

 また「NDO::Weblog」さんが早速、Amazon Webサービス(ECS)を利用した検索システムを作成しました。大量の情報に向かって試行錯誤しながら検索するシチュエーション、これもテンポのよいレスポンスが望ましく、Ajax的なフロンティアと言えそうです。

・NDO::Weblog / Ajax で画面遷移なしの Amazon 検索
http://naoya.dyndns.org/~naoya/mt/archives/001610.html

・Ajaxモデルでのファイラー : これを従来型モデルで開発すると・・
http://la.ma.la/filer/

・Ajaxによる日本語IME : 実用性よりはAjaxの可能性を示唆しています。
http://chasen.org/~taku/software/ajax/ime/

・Ajaxを使った郵便番号検索
http://apollo.u-gakugei.ac.jp/~sunaoka/ajax/ajaxzip/

・LiveSearch : Google Suggest的なインターフェイスを実現するライブラリー
http://blog.bitflux.ch/wiki/LiveSearch

・ZEROBASE : Ajaxに関して熱心に取り組まれています
http://zerobase.jp/blog/entry-208


Ajaxの波は来るか

 よく考えるとAjaxは既存の技術の組み合わせに過ぎず、新しい技術ではありません。

 こと日本においては、Orkut、Gmailなどのメジャー級新サービスが先に実例として現れ、それに「Ajax」と名前が与えられたことでブレイクを起こした感があります。

 新しい技術は巨大資本や標準化団体から鳴り物入りで、またはオープンソースで、じわじわと頭角を現してくるのが通例でした。その観点からも、「Ajax」は目新しい現象のように感じます。

 あとはオーサリングツールや、Webアプリケーションサーバのサポートが充実するか。あるいは、既存のXML Webサービスと相性がよく、再利用可能なパーツ(LiveSearchのような)が現れるか。そのブレイクが連鎖していくか。

 技術の発生史としても、RIAの行方としても、今後の動向を見守りたいところです。

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