ローコストCMS構築のススメ 「MovableTypeをCMSとして使うためのワークフロー」

2005年6月16日 | 広報・PR・イベント運営担当

2005年06月16日

ローコストCMS構築のススメ 「MovableTypeをCMSとして使うためのワークフロー」

宮永邦彦
株式会社イー・エージェンシー

 あなたはWebサイトの管理に毎月どれくらいのコストを投じているだろうか?

 外部に委託している場合は作業ごとに見積もりを立てたり、作業が発生するしないに関わらず定額の保守費用を支払っていたりするだろう。自社で運営している場合も、担当スタッフの作業時間がそのコストに換算される。

 しかし実際のところ、頻繁に更新されているサイトは数少ない。それはひとえに、一連の手続きを含めたトータルな更新コストが必要以上に高いからではないだろうか。

 どんなに小規模なサイトであっても、その持ち主の現実は刻一刻と変化している。Webサイトはそれを伝達するローコストなメディアであったはずなのに、コストが高くて更新できないのではあまりにもったいない。昔からのセオリーだが、まめな更新も読者を離さない一つの要因なのだ。

 その一方でブログというコンテンツは、誰が頼むわけでもなく自発的に毎日更新され増殖し、新鮮な情報で読者を魅了している。

 この違いを「ブログは個人運営だから更新が楽なんだ」と無視できるだろうか。ブログコンテンツのフットワークが軽いのは、ブログがシンプルながらCMS(※)であるからいう理由も大きい。

 (※:Content Management Systemの略。簡単に言えば、Webサイトの管理・更新などを簡単に行うためのシステム。ブログツールも広義のCMSといえる)

CMSとしてのMovable Type

 CMSは一般サイト向けにも数多く登場しているが、その多くは高価であり、また豊富な機能を備えているが、中小規模のサイトにとってみると不要な機能の方が多かったりもする。

 そこで注目を集めているのが、ブログツールのCMS利用である。ブログツールとしてあまりに有名なMovable Typeには、表現力を高めたり、構造を制御するプラグインが豊富に用意されている。プラグインを活用することでMovable Typeは低価格かつ高機能なCMSに大変身する。

 Movable Typeのロゴマークをよく見ると、タグラインで”Publishing Platform”と、うたっている。これはまさにMovable Typeが単なるブログツールではなく、その目指すところがCMSであることの主張である。それでもMovable Typeにより構築されたサイトは、いわゆるブログ、つまり「時系列に並べられた定型の日記型コンテンツ」という印象が一般的だ。そんなMovable TypeをCMSとして活用する実践的なワークフローを紹介しよう。

ワークフロー

 Movable TypeをCMSとして使う場合、行き当たりばったりでテンプレートを書き始めると、試行錯誤を繰り返し、テンプレートはどんどん複雑化し、頓挫の憂き目をみることになる。通常のサイト構築にならった入念な構造設計から始めることが、プロジェクトの成否を決める。

(1)サイト構造を考える

 まずは構築したいサイト全体の構造を考える。初めからMovable Typeの特性を考慮することもある程度必要だが、ここではあえて本来作りたい構造を尊重して考えてみよう。

(2)サイト構造とMovable Typeのデータ構造をつきあわせる

 次にそのサイト構造と、Movable Typeの論理的なデータ構造のつきあわせを行う。Movable Typeの論理的なデータ構造は、正規化された階層構造をしている。まず複数のウェブログがあり、それぞれのウェブログはカテゴリー(およびサブカテゴリー)を持っている。カテゴリーには複数のエントリーが含まれる(※)。

 エントリーはタイトル、本文、追記、キーワードなどの属性からなる。この階層構造と、サイトの要素を対応させてみる。

(※:厳密にはウェブログはエントリーの集合であり、エントリーがカテゴリーという属性を持つのだが、CMS的な利用においては階層的に考える方がサイト構造とマッチしやすい。

 Movable Typeには個別アーカイブ、カテゴリーアーカイブ、日付アーカイブなどがある。特に個別アーカイブとカテゴリーアーカイブをよく使うが、逆にアーカイブを全て使う必要はない。必要なアーカイブだけを残し、他は思い切って削除または無効にしてしまおう。

(3)プラグインの検討

 多くのサイトには一部に例外的な構造があるなどして、サイト構造とデータ構造に、ずれが生じる。ここでMovable Typeプラグイン(以下、プラグイン)の出番である。プラグインの総本山とも言えるサイトはここだ。

http://www.sixapart.com/pronet/plugins/
(Six Apart ProNet – Plugin Directory)

 残念ながらこのサイトに匹敵する日本語のプラグインガイドは見あたらない。しかも本家のプラグインガイドでの解説も、あまり親切な記述とは言えないことも多い。

 しかし構造のずれを解消し、本当に納得のいくサイトに仕上げるためにはプラグインの活用が欠かせない。敷居が高い分、技術の差別化にもつながる。目的に合うプラグインを根気よく探してみてほしい。

 プラグインのインストールは簡単である。ダウンロードしたファイルを解凍し、Movable Typeをインストールしたディレクトリ下のpluginsディレクトリにコピーするだけだ。メインメニューにプラグインが表示されれば、インストール成功である。

 新しいプラグインはテスト用のブログを別に設け、一度そこで試用することを勧める。サイトに情報が少ない分、動作を勘違いすることもある。いきなり本番サイトに組み込んでしまうと混乱を招くことが多い。

スパイラル式にブラッシュアップする

 以上、(1)サイト構造を考える、(2)Movable Typeのデータ構造とつきあわせる、(3)プラグインを検討する、というステップをスパイラル的に繰り返し、サイト構造とデータ構造の不整合をなくしていく。テンプレート・モジュールも活用し、テンプレートもシンプルになるようにしよう。テンプレートが複雑になりすぎるとプロジェクトを行き詰まらせる一因となる。

 また、サイト運用者にたくさんの個別ノウハウを求める設計では、CMSとして更新性を高めるという利点をスポイルしてしまう。最適解に行き着くまでじっくりとブラッシュアップしよう。

(4)カテゴリーとテンプレートの作成

 サイト構造とデータ構造の不整合がなくなったら、いよいよ実際にカテゴリーを作成し、テンプレート作りに着手できる。デフォルトのテンプレートはXHTML+CSSによるモダンなコーディングとなっているが、それにこだわる必要はない。ブラウザーの互換性を重視し、テーブルレイアウトによるコーディングもできるし、もっとシンプルに携帯電話向けとしてCHTMLを書くことだってできる。「Movable Typeだから」という固定概念を廃し、思い切った利用をしてみよう。

(5)エントリーを書く

 テンプレートの作成と平行してエントリーの投稿を始めよう。ここまで設計が進めばコンテンツライターとテンプレートデザイナーが分業を図ることができる。これは多くのWebデザイナーが切望したワークフローであり、まさにCMSの醍醐味と言えるだろう。

 以上、駆け足でMovable TypeをCMSとして利用するワークフローを紹介したが、図版を交えたより詳細な記事が、「web creators」8月号(MdN刊、6月29日発売)に掲載される。CMS利用における具体的なテクニックやプラグインの活用法も紹介しているので、ぜひ一読いただきたい。

 同誌では巻末特集においてCMSにフォーカスする予定となっている。Movable Typeを活用したCMSを構築し、沿線内でのライターと読者のコミュニティ形成に成功した「相鉄Style」の担当者インタビューも掲載予定であり、Webサイトの管理コストに問題意識を持つ方にとって有力な情報源となるだろう。

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