ロングテール・CGM・Ajaxで変化するインフォメーションアーキテクトのお仕事

2005年12月1日 | 広報・PR・イベント運営担当

ロングテール・CGM・Ajaxで変化するインフォメーションアーキテクトのお仕事

野口 竜司
株式会社イー・エージェンシー

 2005年を振り返ってみると、Webマーケティング業界における主役は「Web2.0」であったように思う。そんなトレンドの渦の中、Web業界の各職種の役割は少しずつ変化しているのではないだろうか。今回は、Webサイト設計およびユーザーエクスペリエンス設計の中核を担う「インフォメーションアーキテクト(以下、IA)」の視点から、Web2.0世代のサイト設計がどのような変革を必要とされているかを述べていきたいと
思う。

(※インフォメーションアーキテクト:Information Architect、略称IA 情報設計者を意味する職種。サイト戦略策定、ターゲットユーザー分析、導線分析などを通じ、Webサイトの情報構造を構築する)

ロングテール集客で変わるユーザーシナリオ設計

 古くから、2割の商品が全体の売上の8割を稼ぐという、いわゆる「2:8の法則」があり、Webの集客においても同様の理論が少し前まではまかり通っていた。しかしながら、今はその理論だけを頼っていてはいけない。いくつものログ解析データを見てきた中で感じることでもあるが、主要な2割のランディングページ(サイトアクセスする時のファーストページ)よりも、残り8割のランディングページに着目し、対策を講じたほうが、効果が出やすくなっているのだ。

 「IA」がユーザーシナリオを作り上げる際、ユーザーのサイト初期接触点に関する考察は欠かせない。同じニーズや属性を持ったターゲットであっても、同一の入り口からサイトへ訪れるわけではない。ロングテール時代において、入り口の多様化に対応したシナリオこそが、最大の効果を生むのである。

CGM/Folksonomy発想が変える情報構造設計

 「CGM」という言葉をご存知だろうか?
「Consumer Generated Media:消費者が作り出すメディア」という意味なのだが、このblogやSNSに代表されるこの消費者発信型メディアもWebマーケティング市場に最大のインパクトを与えた要素のひとつである。

 ○自分の夢や目標を登録しシェアするSNS『43THINGS』
  http://www.43things.com/

 ○個人コンテンツを管理/共有できるサービス『TagWorld』
  http://tagworld.grou.ps/

 ○参加型ニュースサイト『ディグ』
  http://digg.com/

 海外におけるCGMの事例を3つ挙げてみたが、「43THINGS」はAmazonから出資を受けていることからも分かるように、CGM系サイトは個人のみならず企業サイドからの注目度も高い。

 このようなCGMの台頭により、広がりつつあるのが「Folksonomy(※)」という概念である。上記の各サイトを見ていただければ分かるように、サイト内の分類や掲載のプライオリティ付けは、消費者の手に委ねられている。企業(運用者)サイドから押し付けられた情報分類ではなく、消費者のための消費者による草の根的な情報分類こそが、「Folksonomy」なのである。

(※Folksonomy:Folks(民衆・大衆)+taxonomy(分類学)の造語)

 これまでWebサイトのほとんどがヒエラルキー型のみで構成されており、サイト情報構造設計の際は、樹形図的にいかに整理されているかという議論に集中されていたといっても過言ではない。しかしながら、消費者が最適分類を自ら作るということを経験した今、「Folksonomy」の視点を抜きにして、情報構造は語れなくなってしまった。

 もちろん、サイトの性質やビジネスゴールの違いにより、これまでどおりのヒエラルキー型の構造化が効果をもたらすケースもあるだろうが、消費者の巻き込みも含めたビジネス戦略を狙う場合、これまでの経験則に加え、新たな発想を持って情報構造設計に取り組まなければならない。

Ajaxで変幻自在、インターフェイス・ナビゲーション設計

 まずAjaxについて解説しよう。Ajaxとは「Asynchronous JavaScript and XML」の略で、XML形式のデータをJavaScriptで処理し、動的にページコンテンツを変更する仕組みのことである。言葉に置き換えると少々分かりにくい概念なので、いくつかの具体事例を提示しよう。

・Ajax活用の主な事例
http://c01.wx0.net/?c=30444&m=1930&h=515313022e (Oldnavy.com)
http://c01.wx0.net/?c=30445&m=1930&h=dfdd694cc1 (Gap.com)
http://c01.wx0.net/?c=30446&m=1930&h=aa41e44bbd (Ajax RSS News reader-BBC)
http://c01.wx0.net/?c=30447&m=1930&h=8c06024216 (gooサジェストβ with ATOK)
http://c01.wx0.net/?c=30448&m=1930&h=725eb15b03 (Yahoo! Mindset:英語)

 上記の事例を見ていただければわかるように、Ajaxは変幻自在の使われ方をしている。
この技術発想は、Webサイトにおけるインターフェイス・ナビゲーション設計の常識を完全に変えてしまうかもしれない。馴染みの薄い操作感が故に、消費者はしばらくの間は様々な反応を示すかもしれないが、次第にAjax型インターフェイスに慣れ、親しみすら覚えてくるのではないだろうか。

 ここ数年で一般的なユーザビリティ論は業界内で浸透し、どのサイトでも一定水準の使い勝手は確保してきた。今後、更なるユーザー満足度向上や新たなるサイト体験の提供を仕掛けるにあたり「Ajax」は強力な武器となる。

まとめ

 「ユーザーシナリオ設計→情報構造設計→インターフェイス・ナビゲーション設計」と通常の「IA」の仕事の流れにあわせながら、「ロングテール」「CGM」「Ajax」をそれぞれ取り組まなければならないテーマとして挙げていった。

 「ロングテール」「CGM」「Ajax」を深く理解した上で、それらを使いこなせる「IA」(また、その他Webマーケティング従事者)は、まだまだ少ないように思う。逆にこれまでの常識を一掃し、新たなロジックで発想しなければならないため、敬遠する人も多いかもしれない。

 決して億劫になっていはいけない。新たな仕組みを取り入れ続けることこそが、Web業界の醍醐味なのだから。

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